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森見登美彦氏サイン会

『太陽と乙女』刊行記念 森見登美彦サイン会&トークショーに行ってきた。

開始時刻は16時。

軽快なトークを経て、そのままサイン会へ突入。

有頂天家族の早雲は如何にして生き延びたのですか、『太陽と乙女』を読み終えずにここに来てしまって少し後ろめたいですが楽しく読んでいます、今年のクリスマスはどのように過ごされるのですか等、かける言葉を色々考えてはいたが、最終的に流れに身を委ねようという結論に至る。

こちとらサイン会というものに絶望的に慣れていない。

そもそもサイン会に慣れている人がいるのか疑問だ。

順番待ちの末、登美彦氏の前へ。

目の前には関係者3人ほどが、椅子に座っている登美彦氏を挟んで立っており、それだけで迫るものがある。

登美彦氏はともかく他の3人は何奴と訝しみながら『太陽と乙女』を差し出した。

このサイン会に参加する上で僕はある重大なミスを犯していた。

なんと、僕は『太陽と乙女』を読了しないまま『太陽と乙女』刊行記念サイン会に臨んでいたのである。

『太陽と乙女』をあとがきまで読んでいたなら、この3人が如何なる人物たちであるかは明白だったはずだ。

彼らは『太陽と乙女』刊行の功労者たちであり、登美彦氏もあとがきにそのことをしっかり記している。

ちゃんと最後まで読んでいれば。

自らの至らなさを呪うばかりである。

さて、後ろではサインを心待ちにしている人たちが壇上に注目している。そして女性が非常に多い。

無論、皆が注目しているのは登美彦氏であって僕ではないのは明白だが、前から後ろから視線が飛び交う中で平静を保つのは至難であり、それがかなうのは心胆据わった豪の者のみである。

すっかりアガッてしまった小心者の僕は、結局ロクに言葉も交わせないまま敢え無く退場を余儀なくされた。

唯一覚えているのはコンニチワと登美彦氏に挨拶したことと、関係者らしき女の人と交わした、


「どこに住んでるんですか?」


「あ、京都です……」


のみである。

もちろん口火を切ったのは関係者らしき人だ。

サインをしてもらっている数十秒が永遠に感じられ、底冷えする薄暗い京の街で、僕は人知れず撃沈したのである。

無念。

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