すっごい厨二病ちっくよね
青い空、白い雲、いつもの日常
左手に握る木刀で男に切りかかりながらそんな事を考える
「集中しないと俺には勝てないよ?」
男は少年の木刀を切り上げ腹を切りつけた
「いつっ!少しは手加減してくれよ、アレン!」
「手加減したら君の修行にならないじゃないか」
アレンと呼ばれた男は今度は少年の腕を切りつけた
ところが少年はそれをギリギリのところでかわし、アレンの腹目掛けて蹴りを放った
「甘いな」
アレンはため息をつきながら左手で少年の足を掴み、上に放り投げた
少年はいきなり空に投げたされて暴れている
「今日はこれぐらいにしよう、ヒール」
落ちてきた少年に回復魔法を掛けながらアレンは剣を鞘になおす
「今日も1本も取れなかった!ほんとに俺はアレンみたいになれるのか?」
少年は斬られたところが治っている事を確認しながら言った
「なれるさ、君にその時がきたらね、本当は来て欲しくないんだけど」
「どういうことだよそれ?」
「まあまあ早く帰ろう、俺はお腹減ったよ」
アレンは村に向かって歩き出したので少年はその後について行った
しばらくして村の近くについたが
「今日は村で祭りがあるのか、ずいぶんと騒がしいけど?」
「そんなはずはないよ、祭りなら先月やったし」
「嫌な予感がするな」
アレンは鼻先を擦りながら村を睨んでいた
「急いで帰ろう!アレンの勘はよく当たるから」
少年はアレンの返事を聞かずに走り出した
アレンもすぐに少年の後を追いかけた
「なんて事だいったい誰がこんなことを」
「嘘、だろ、母さん!父さん!」
村につくとあたりには村人が倒れており誰も息をしていない
走り出そうとした少年をアレンは止める
「離せアレン!母さんが父さんが!」
「1人は危険だ一緒に行こう」
アレンは少年を後ろに庇いながら村の中央、少年の家に向かった
しかしそこには無残な姿になった少年の両親が倒れていた
「うあぁぁぁ!!!」
少年はその場に駆け寄り大声で泣いた
「生存者は無し、かどこのどいつがこんなことをっ!」
「チッ外したか」
アレンの右手にはナイフを持った手が握られていた
「お前は誰だ?」
「死ぬお前に答える必要なし」
ナイフを持った男はそう言いながら右腕を切り落としアレンに血を振りまいた
「っ!」
アレンは目に血が入り視界を失ったが剣を抜き男に切りかかった
「さすが勇者候補だな、だが所詮は候補まだ弱い」
男は剣撃をすべて避けながらアレンに近づいた
「ここで散れ」
男はアレンの胸目掛けてナイフを突き刺そうとしたが
「るうぁ!」
少年が男の後ろから切りかかった
「生き残りか」
男は少年の攻撃を無視しそのままアレンの胸を刺した
「ぐっ!甘いのは君もだよ」
直後男の背中に凄まじい痛みが走った
「何!?」
「その子が持っている木刀は聖木から作ったんだよ、この意味わかるだろ?」
アレンは不敵に笑いながら男の目を見る、男は驚いた目をしていた
「すらぁ!」
少年が男の背中を縦に切った
「ま、さか、貴様が」
男はそのまま動かなくなった
「アレン!大丈夫か!?」
「あぁ、このとおりピンピンしてるよ」
アレンは口から血を吐きながら胸を叩いた
「無理すんなって!早く回復魔法使えよ!」
しかしアレンは魔法を使おうとはしない
「―あのナイフには魔法がかかってあった、死に至る魔法だ。
俺はもう助からない、その前に君に頼みがある」
少年は男のナイフをみた、刀身には何か文字が彫っており薄くに光っている
「俺に出来ることなら何でもするよ!」
少年は泣きながらアレンの方を向いた、アレンは嘘をつくような人間ではないのを知っているからだ
「ありがとう、じゃあこっちに来て」
アレンは笑いながら手招きした、少年はそれに応じてそばに寄った
「―君には俺の跡を継いでほしい、俺の代わりに勇者になってくれ」
「俺はアレンみたいに強くないから無理だよ!」
少年は首をブンブン振りながら断る
「―何でもするって言ったくせに」
「ぐうぅ」
「聖木が使えたって事はどういうことかわかるだろう?」
アレンは笑いながら、血を吐きながら言った
聖木とは勇者候補を選び出す特別な木で、勇者の素質がある者には聖木に宿る聖なる力と呼ばれる特別な魔法が使える
「―やってくれるね?」
「うん、えっと、勇者様?」
「いい返事だ、君の名前はアレンしっかり覚えておくんだよ」
アレンは哀しそうに笑いながら少年アレンの頭に手を置いた
「この者の記憶を封じよ」
アレンの掌から青い光が溢れ少年アレンの頭を包む
「ああ、あああ!」
少年アレンは涙を流しながらアレンをみる
「さようなら―――」
少年アレンの意識はここで途絶えた
ゴボッゴホォ
アレンは口から血を吐きながら少年を抱き抱え歩き始めた
ついた場所はこれまで修行してきた聖木の下
アレンは聖木の根に少年を座らせてその場に倒れた