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ほんじつのむだぶん  作者: 摩耶


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7月26日号『心地のいい音だった』

貴重なお時間を割いてまで、


このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。



今日もまた季節性の強い「むだぶん」になっています。


連載として偏りが出るのはどうかと思いますが、お楽しみいただければ幸いです。


この時期、『心地のいい音』ってどういったモノを思い浮かべますか?


天然のかき氷を削ってかき氷を作る音。


風に吹かれて静かに流れる風鈴の響き。


今週辺りから、花火大会が最盛期を迎えるという事もあり、


大玉花火が空へと爆ぜる時の音は、遠花火であっても届き、


夏の風情を感じさせる代表とも言える音でしょう。



そんな中、今日は、


普段なら『不快』の一言で斬られるような音であっても、


これほど心地よく感じられる日も珍しい一日だったような気がします。


夏の定番と言えば、『蝉』。


朝からの大合唱でうんざりしている方もいらっしゃると思います。


ないとちょっと寂しいという捉え方もあるとは思いますが、


蝉といえば『不快指数』を強調する代名詞といっても決して過言ではありません。


この不快指数が下がれば感じ方も大きく変わってくるものです。



日差しが雲に遮られながらも、雨に見舞われる事もない日和でした。


危惧していた気温もそれほど上がっているといった感覚もなく、


日中も冷房を使う事無く、窓を開けるだけで涼が得られました。


飛び込んできたのは蝉の大合唱。


不快指数の象徴に顔を(しか)めてしまいそうになるのですが、


何ら苛立ちが募るような事もなく、


「嗚呼、夏らしいなぁ……」と穏やかな気持ちのまま時間が過ぎて行きました。


蝉時雨がこれほど心地のいい音になるとは思ってもみませんでした。


考えてみれば、蝉だって次の世代に子供を残すために、


懸命に短い生を全うしているのですから、


それを疎むというのも、蝉に対してとても失礼だとは思いますが、


暑さ・湿度が産み出す不快指数が低くなるだけで、ここまで感じ方に変化が生まれる。


人間が如何に自分勝手な生き物だという事を、


涼しい蝉時雨を耳にしながらもしみじみ思ういい一日でした。

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