3月13日号 『ケースバイケース』
貴重なお時間を割いてまで、
このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。
『すべては、お客様の「うまい!」のために』
『Changes for the better』
『仕事を聞かれて、会社名で答えるような奴には、負けない』
どこかで見たり、聴いたりした言葉だと思います。
その一言だけで、人の心をグッと掴む言葉の錬金術師がコピーライターさんです。
超がつくような一流の方となりますと、
僅か数行の文章がCMの肝を飾り、数行の言葉だけで百万単位の報酬が得られるとあり、
傍から見ますと「どれだけボロい商売なんだ!」と羨望を通り越して、
疎ましい目線を投げかけたくなってしまいます。
ですが、この1本を書き出すために、
幾千・幾万本の候補を作り、ボツにしなければいけないでしょうし、
その道で成功を収めている方なら、より一層言葉選びは慎重に行わないといけません。
最も苦労の見えづらい職種の1つになっているかもしれません。
目を引くキャッチコピーと特徴の1つとして、【サプライズ】があります。
そりゃそうです。
記憶や印象に残すには凡庸な言葉よりも、図抜けた言葉を使うのが効果的です。
そして残念ながら、手段としてネガティヴキャンペーンを利用するのも、
サプライズを起こすにはうってつけの材料だったりするのですが、
それでも言葉を扱う立場として、言葉の意味を熟考しながら
ケースバイケースは大切だと思うのです。
そんな記事の中で、こんな言葉がサプライズと共にありました。
怨嗟
思わず内容を確認してしまったのですから、
その記事を綴った方の思惑に見事にハマってしまったのでしょう。
大辞泉先生に緊急にお越しくださいまして意味を確認してみますと、
『恨み嘆くこと』と短く明記されていました。
意味はなんとなく理解はできます。
確かに日付変更線を跨ぐ寸前まで延長したWBC(World Baseball Classic)。
それに押されてそれ以降の番組がズレ込んでしまい、
番組を楽しみに待っていた方々が起こっている様子を『怨嗟』の一言で表現したのでしょう。
ニュース記事のリンクですので、1行でまとめなければならない以上、
出来うる限り短い言葉を使いたいという気持ちも理解はできます。
とはいえ、文字として映る【怨】の文字。
怨念・怨霊・怨讐と言葉が含んでいるイメージは祟る・呪うに似たものがあります。
言葉には力が籠っていると思っている逸般人が見ますと、
何もこんな所でこの言葉を使わなくてもいんじゃないのと感じるのです。
言葉にもTPOの重要さを改めて感じるいい一日となりました。