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3月1日号 『薄氷の勝利』

貴重なお時間を割いてまで、


このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。



世に言う勝負事が好きな人は少なからずいます。


逸般人自身も負師だと自負しておりますが、勝負事になると熱くなってしまう気質は


中年のオッサンへと変貌を遂げても変わる事はなさそうです。


では何故、そこまで勝負にこだわりたいのか?


人類の歴史でも文明の発達の中で多くの傷跡を背負ってきました。


その最たるモノが戦争でしょう。


愚かしい事だと理解していても、どうして戦争を繰り返したのか?


理由はただ『勝てる見込みがあるから』挑んでしまうのです。


それほど【勝利】が生み出す達成感・高揚感の麻薬は罪深い存在なんだと思います。


勝ちの種類にも色々ありますよね。


ワンサイドの勝ちであっても、ギリギリ100点差であっても勝ちは嬉しいものです。


今回は後者に絞ったお話をするのですが、


妙な所からやってきた薄氷の勝利に、思わず複雑な表情を浮かべてしまったのです。


スチャラカ路線にしますので、肩の力をお抜きいただければと思います。



無駄文の中で何度も申し上げていますので、ご存知の方も多いと思いますが、


今年の逸般人の抱負は『(テイ)を整える』でした。


これから忍び寄るであろう衰えの下り坂の斜度を


少しでも緩やかなものにするために、意図的に動く事に重きを置こうとしております。


その1つとして試しているのが『ウォーキング』。


急に強度を上げたトレーニングでは身体を壊しかねませんので、


慣らしの段階として気軽に始められると思ってスタートさせました。


これでも学生時代は190cm弱の長身を生かしたストライド歩法を活かし、


当時の学生やフレッシュマンを相手にしても、歩みに関しては遅れを取った事はありません。


そんな歩法を思い出しながら、結構強度の強いペースで歩を進めていると、


視界の先に車椅子に乗ったお婆ちゃんの姿がありました。


昔は手で車輪を動かしたり、誰かに押してもらっている車椅子は今は昔になったのか、


ハンドル操作ができる電動車椅子で住宅地を走ります。


上り坂でもスイスイ進めるように結構なパワーが自慢の機械もあるようですが、


それでも歩みに自信のある逸般人の歩法をもってすれば、楽に追いつけるだろうと思い、


足のギアを上げて追いかけ始めたのです。


しかし軽く見ていたしっぺ返しがやってきたのは、開始から数分後。


顎を上げながら追いかけ続けるという、だらしのない中年のオッサンの出来上がりです。


歩幅全開で歩みを進めて、ようやくジリジリ追い上げられる感覚で、


気を抜いたら結構引き離されてしまう事態に追い込まれました。


そこまで来たら、何とかしてまで差し届かせたいと躍起になったのが功を奏したのか、


それとも電動車椅子が角を曲がるために速度を落としたのもあったのか、


目標としている電信柱の僅か手前で捉える、まさに『薄氷の勝利(自称)』という結果でした。


勝てたという事実には、正直言いまして安堵感に包まれたのですが、


その頑張り過ぎてしまった反動は、確実に逸般人に激しい息切れのお土産を残したのです。


誰にも見られていない事を確認して、膝をつく体たらくに、


怠け切った身体に複雑な思いを抱えてしまったのは言うまでもありません。

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