2月2日号 『年眠』
貴重なお時間を割いてまで、
このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。
念の為に大辞泉先生にもご登場いただきましたし、
念の為にWebの世界でも確認を取ってみましたが、新語としてヒットしませんでしたので、
恐らく、逸般人が勝手に創った造語のようです。
とはいえ、意味合いとしては難解な意味を含んでいるわけでもなく、
年がら年中眠り続けている事を指しています。
アルプス山脈の珍獣と呼ばれているリス科の動物『マーモット』は
1年の中で8ヶ月冬眠する生態を持っているようですが、活動期間はちゃんとあります。
1年通して眠り続けているのは、異質でしかありません。
今回はそんな年眠に目を向けたスチャラカ路線をお届けしますので、
肩の力をお抜きいただければと思います。
自室をぐるっと見渡せば、
ハンガーにかけられた衣類が出番を待ち続けています。
正装やスーツ・ビジネスコート類は別のクローゼットに収納しているので、
主にワイシャツ・セーター・ジャケットが主力になっています。
ジーンズ類は社長椅子の肘掛の所に掛けられており、
何本かをローテーションとして着回しているのです。
そんな中、最低気温が氷点下5度というなかなか見ない数字がマークされ、
暖房のない部屋では、吐くの白さがはっきり見える状況に、
「徹底的に対策を取らないと、一気に風邪に押し切られるかもしれん」と身震いし、
押入れから着る毛布を引き摺り出し、芳香剤を振りかけての現場復帰となりました。
その際に、衣類が収められていた透明のケースが入っていました。
夏用の衣類なら、日光を吸収しないように白を筆頭とした衣類が多くなりますが、
透けて見える色合いは青であり、紺といった寒色系と大きく異なります。
試しに開けてみますと、Timberlandの青のジャンパーが折り畳まれていました。
取り出してみると、近頃有名になったウルトラライトダウン並の軽さと薄さで、
ポケットの内側に破れがあるものの、見栄えが悪くはありませんから
今から現役復帰の道を与えても、十分に活躍できると思わせるほど。
基本的に青系は逸般人が好む色の一種ですので、使わない方が不思議な逸品なのです。
多分ハンガーの本数が足りなくなったので、仕方なくの処置だったように思えます。
そんなジャンパー系の衣類が数本出番を待ち続けているのです。
気付かなければ、立春を超えて桜の声を聞き、蝉の声に苛立ちを募らせ、
田園風景が黄金色に彩を変え、再び木枯らし1号が吹き荒れても
収納ケースの中でスポットライトを浴びる時を延々と待ち続ける事でしょう。
どこかの漫画で読んだフレーズが浮かびました。
『例えば、女性にドレスをプレゼントするとしましょう。
それだけで終わりではなく、そのドレスを着せて何処かに連れて行く機会を与えないと、
プレゼントとしての意味はなさないでしょう』
年眠させるだけでは勿体無いのです。
ちゃんと外出する際に着て役割を果たすように意識を向けないといけないようです。