1月23日号 『締まらないなぁ』
貴重なお時間を割いてまで、
このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。
よく若手の俳優さんが中心で構成されているドラマ、ありますよね。
その中でスタッフロールの最後に出てくるベテラン~大御所俳優さんの名前がよく流れます。
名前だけでも内容に加わる重みや渋味は段違いに変わってきますし、
多くの演者さんが1画面に集まっている中で、その俳優さんが入ってきたり、
一言二言演技をするだけで、その場面に急に緊張感が走ります。
その事をよく「画が締まって見える」と表現しているのですが、
今回のタイトルの『締まる』はそれに近しい事を念頭に入れていただければと思います。
因みに「スチャラカ」ですので、肩の力はお抜きくださいね。
その一方が入ってきたのは、よく気象の世界で言われる『夜のはじめ頃』という、
具体的に何時ぐらいよ?と首を傾げたくなるような頃合だったと思います。
この時間帯に滅多に鳴る事のない固定電話に着信がありました。
何事かと思い受話器を取ると、声の主は父。
確かグループホームの慰問で珍しく大阪に出ているのは聞いていたのですが、
日のあるうちに戻ってくる習性のある父にしては、
妙に時間がかかってるなぁと思っていた矢先でしたので、何事かと思ったのですが
「えらいこっちゃ、事故ったわ…車も終わったかもしれん…」
結構な爆弾発言です。
思い起こされるのは、高齢者の方のアクセル踏み間違いによる事故。
物損ならまだしも、人身事故ならとんでもない事になると、
はやる気持ちを抑えながら詳しく訪ねてみますと、
(伝聞なのでざっくりしているところはご了承ください)
感覚でハンドルを切ったところ、タイヤごと何か硬いものに衝突してタイヤが壊れ、
内部機関に支障があれば廃棄しないといけない模様。
確かに電車網のあまり発達していない地域で車は必須ですから、
真っ青になりながらも、父自身に怪我がない事を確かめて、
「落ち着いたら連絡ちょうだい」と第一報を打ち切ったのです。
第二報は約一時間後。
確認してみると、ボディ自体に傷は無く壊れてしまったのは前輪のタイヤだけなので
履き替えれば普段通りに走れる結論に至ったので、今交換してるとの事。
最悪の事態は避けられ、そろそろタイヤも寿命かと思っていたタイミング。
『不幸中の幸い』という表現が見事に当てはまるタイヤ交換で、
急な出費は痛いものの、車1台よりも遥かに安価ですから致し方ない選択であり、
履き替えた車に乗って父は帰宅の途につきました。
後日、車の様子を確認したのですが、
「何処をぶつけたの?」と尋ねてしまうほど車体に傷はありません。
当たった場所・当たった角度・当たった速度等々、
結構な奇跡が重なり合ったからこその軽傷だった事が伺えるのです。
ですが、その事故の代償がこの『締まらないなぁ』を産み出したのです。
無傷だった車の唯一の変更点が、その履き替えた前輪タイヤ。
そこに前のタイヤにあった『ホイール』がありません。
単純に走ってくれればいいという役割は、以前と変わらないのですが、
見てくれという意味では、前にはなくて後ろにはあるのは、
妙に締まらない映像のように見えて、その滑稽さに苦笑いを浮かべてしまうのです。