1月22日号 『どうしたいのか』
貴重なお時間を割いてまで、
このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。
昔から『呉越同舟』と呼ばれる表現があります。
大辞泉先生にご登場いただきますと、
「仲の悪い者どうしが同じ所に居合わせたり、行動を共にしたりする事」とあります。
目指したい方向と実際にやっている方向。
多少ズレがあったとしても、同じ方角を向いているのなら、
手を携えて目標に向けて進む事は決して難くはありません。
ですが、1つの目標に向かって取ろうとする手段が、あまりにも極端すぎてしまうと、
逆効果を及ぼしてしまいかねない事に何故気付かないのかと
半ば呆れに近い思いを抱えてしまうモノがあるので、そのお話をしようと思います。
話題としては少し趣味に走った内容になっていますので、
読む人を選ぶかもしれませんので、ご了承くださればと存じます。
古くからお付き合いのある方々なら御存知でしょうが、
逸般人の趣味の一環として『競馬』があります。
父が半世紀に亘って競馬と鎬を削り続けて生き残っており、
その影響を強く受けてか、観始めてから四半世紀の時が流れました。
少し前までは好きだった競走馬の兄弟や子供達がデビューすると、
「この血統なんだから大舞台でも活躍して欲しい」と思っていましたが、
最近では好きな馬の孫はおろか、曾孫がデビューするという
若干気が遠くなりそうな思いもしています。
もう一言踏み込めば、今まで観てきた中で好きになったのは
『タマモクロス』であり『メジロマックイーン』であり『ナリタブライアン』であり、
伝聞の中では『タニノムーティエ』『タニノチカラ』兄弟や『モンテプリンス』等、
最近始められた方にとってはさっぱりわからない名前ばかりが並びます。
とはいえ『趣味は競馬です』なんて口走ったら最後。
就職面接でうっかり口を滑らせれば、一発で不採用通知が届くように
いい顔をされる方は多くはありません。
それは当然です。
『競馬=ギャンブル=悪』とパチンコと並んで諸悪の根源として扱われる以上、
どうしても後暗いイメージを抱かれてしまうモノです。
そんなイメージを払拭したいのが運営しているJRA。
ここ20年以上競馬のコマーシャルに使われているのが、
当時、人気絶頂期を誇っていたセレブリティな方々が名を連ねています。
今年は2年ごとの入れ替わりのタイミングなのか、
フレッシュな若手の俳優さんや綺麗どころの女優さんが肩を並べ、
如何にも「競馬はクリーンなスポーツです!」という方面を押し出そうとします。
それで足並みを揃えられれば、思惑通りの方向へと進んでいく筈ですが、
揃うどころか引っ張っているように受け取られかねない事があるのです。
それは同じJRAが主催している『競馬中継番組』にありました。
昔から放映されている番組で、『杉本節』という名実況が飛び出した事もありました。
その中で眉を顰めてしまうシーンがよく出てくるのです。
競馬番組ですから、メインレースのパドックから返し馬、
そしてスタートからゴールまで生で放送されますし、そのレースの結果も発表されます。
その辺りは昔も今も変わる事はありません。
ですが、昔とは大きく異なる展開が今の競馬にあるのです。
「当たりました~!3連単で○万○千円簡単にいただきました~!」
当たり馬券をカメラに見せながらドヤ顔をする芸人さんやゲストの方々が映し出されます。
これでは瑞々しい俳優さんを揃えて爽やかな雰囲気を作ろうとしている作品の後で、
黒字になったホクホク顔が軽々と打ち壊してしまう。
その一貫性のなさに苦笑いを禁じ得なくなってしまうのです。