1月6日号 『同情してしまう』
貴重なお時間を割いてまで、
このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。
『同情するなら金をくれ!』
このネタを知らない方が多くなってきたんじゃないかと思いますと、
懐かしさを通り越しまして気が遠くなってしまいそうですが、
90年代半ばに流行語の1つとして話題になった言葉です。
主演だった子役の女優さんもすっかり大人になりまして、お子さんもいらっしゃるとか。
知らない世代が20代半ばまで押し上げられているのも何となく頷けます。
私自身、あまり同情をするというのは好きではありません。
その言葉の中にどうしても「上から目線」という印象を与えてしまいます。
191cmの身長は物理的に圧力が掛けてしまう上にそのような言動をすれば、
益々心象を悪くさせてしまいかねません。
とはいえ、今回のエピソードはそんな逸般人をして
「これはちょっと可愛そう…」と思ってしまうワンシーンをお送りしようと思います。
どちらかといえば、シリアス路線に入ってしまいかもしれませんが、
お付き合いいただければ幸いです。
何度も申し上げておりますが、
奈良市内は大阪から電車で1時間少々で通える利便性もあってか、
一気にベッドタウン化されつつあります。
近隣を高速道路が走りますと
広大な田園や鬱蒼とした山々も次々と姿を消し、原風景も今や昔になってきました。
そんな一角の話です。
近くに国道が走り、利便性の高い所にとあるお店がありました。
記憶を辿れば、小さな頃は個人で経営している本屋さん。
大手の本屋さんが進出していなかった頃ですから、結構長い期間営業されていました。
残念ながら廃業した後、居抜き物件として入ってきたのがコンビニ。
国道の脇という立地条件にそれはマッチしていたのか、
一時期は長い車列ができるぐらいの繁盛ぶりで、
隣に旅行代理店の店舗が入ってきたり、
その近くに小さいながらもビルが建設されたり、ファストフード店が出来たりと、
コンビニを中心となった開発が徐々に進められたそうです。
昔はよく通っていた道ですが、近頃は通る事がありませんでした。
近頃の近隣のベッドタウン化を眺めているうちに、
「そういえば、あのあたりはどうなったんだろう…」と考えたのです。
立地的には恵まれているわけですから、高級住宅街になっているだろう。
そんな考えで久し振りにそのコンビニへ歩を進めてみたのです。
思わず言葉を失ってしまいました。
想像していた閑静な2階建ての住宅街は見る影もなく、一昔前と変わらなかったのですが、
軸となっていたであろうコンビニが廃業となったようで、
解体もされずに建物だけが取り残されていました。
広く取られている駐車場も、取り残された旅行代理店1店だけのスペースとなり、
余計な寂しさを掻き立てる風景となっていました。
しかも停められているのは、従業員の方の車であろう1台のみ。
国道の脇に旅行代理店が1店のみ。どう考えても流行るとは思えません。
申し訳ないのですが、閉店への道しか見えてこないのです。
急速に発達する場所、逆に衰退していく場所。
その差が紙一重だったとしても、
コンビニ頼りで営業をしようとしたそのお店に、思わず同情してしまうのです。