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10月26日号 『大盤振舞じゃない』

貴重なお時間を割いてまで、


このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。



今回のメインテーマは『椀飯振舞(おうばんぶるまい)』です。


よく使われるには「大盤振舞」という漢字表記ですが(読みは同じ)、


「大盤振舞」の方が当て字として書かれていた言葉であって、


本来は「椀飯振舞」と書くのが正しいようです。


と、小難しい導入部となりましたので、勿論登場するのは大辞泉先生です。


椀飯だけでもちゃんと意味があるのですが、今回は「椀飯振舞」で引いてみました。


意味合いとしては2つ。


Ⅰ・盛んなもてなし。また金品などを気前よく人に施すこと


Ⅱ・椀飯の儀式の影響を受けた江戸時代の正月の行事。


  一家の主人が親類縁者を招いて盛んに宴会を催したこと。またその宴会


言葉はその時代を映す鑑だと感じているのですが、


源流は鎌倉・室町時代から流れる幕府の儀式という長い歴史を持つ言葉だと


調べて初めてわかる面白さを改めて感じるわけですが、


それで終わりにすると、仕入れた知識が流されていき自ずと消え去っていくでしょう。


知ったからにはちゃんと利用する機会を与えないと、言葉として定着していきません。


唐突にその言葉を連呼する傾向が見えた時、


「あ、コイツ、この言葉覚えたてだな」と二ヤッとしてくれればと思います。


しかしタイトルの後ろにある「じゃない」。


これが『ほんじつのむだぶん』の肝となっております。



未だ夏日を記録してはいるとは言いますが、


それは一時的な最高気温であり、日が傾くと急激に季節が入れ替わります。


昨日、夜空を仰ぎ見ると、雲のない澄んだ空にはオリオンが浮かび、


秋冬シーズンの到来を告げています。


カレンダーを横目にすると、一週間足らずのうちに訪れる『立冬』。


今年の夜間の散歩も、そろそろ店仕舞だと実感する寒さとなりました。


リフレッシュを兼ねた夜間の散歩の最中、


お供となっている缶珈琲を手にするのに自販機の前に立ちます。


まぁ、そろそろ最後に近いと思ったか、


ちょっと奮発しまして、商品の中で最も高値のペットボトル珈琲を購入します。


対面している自販機は、


7月30日のむだぶん(テーマ:『勘違い』)で取り上げたヤツです。


当然、当たり機能がおまけに付いてきますが、


まぁ、外れる外れるとルーレットを回している最中に立ち去ろうとします。


ピ―――――――――ッ


聞き慣れない機械音がしたと思い、振り向いてみると、


商品を購入するボタンに煌々と明かりが点いていました。


どうやら当たっていたようで、おまけが押せる用意が整っています。


こういった自販機の当たりは、放っておくとその機能自体がなくなってしまいます。


無料で貰えるとなれば、当然一番高価な商品を選びたくなるのが性であって、


当然高値のペットボトル珈琲を選ぼうとします。


ですが、高価な商品を押すボタンには明かりが灯っておらず、


缶類の商品しか選べない仕様になっていましたのです。


当たる確率が僅かなのですから、当たった時ぐらい全商品プレゼントする


椀飯振舞をやっても、決してバチが当たらないとは思うのです。


当たったのは嬉しいのですが、そこから味わう理不尽感は、


その感情のギャップも相俟って、納得しがたい心持ちになってしまうのです。

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