10月17日号 『※意見には個人差があります』
貴重なお時間を割いてまで、
このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。
初めてこの言葉を聞いた時、
「こんな便利で婉曲的な日本語があるもんだ!」とまさに目からウロコが落ちましたが、
近頃になると、この言葉がどんどん胡散臭い方向に傾きつつあるように思います。
それもその筈、
こういった言葉がよく使われるワンシーンが『通信販売』のコマーシャルです。
地方ローカルテレビ局で何遍も放送されたり、
CS放送のコマーシャルでも必ずといっていいほどの頻度で採用されます。
時に、チャンネルを変えるごとに同じ商品のコマーシャルが立て続けに3本流れて、
「まさか、この歳でダイエットできるなんて思ってもみませんでした!」
「アミノ酸が黒酢の312倍!!」
「85%OFFの…500円!500円!500円です!」と同じセリフの応酬に、
思わず「もう、えぇっちゅ~ねん!」とツッコミを入れてしまいます。
コメントをされる方の映像の隅っこに、
フォントサイズが5ぐらいの文言がテロップとして出されます。
クレームがつけられた時の予防線を小さなテロップで張っているわけですから、
尚更、後ろめたさがあるのかと簡単に危惧してしまうぐらいになってきました。
そんな怪しさの権化となりつつあります『※意見には個人差があります』を
もう少し楽しく活かせないかなぁとふと思ってしまったのです。
1番最初に浮かんだのは国会の会期中の答弁。
所信表明演説や参考人招致などで、苦境に立たされながら、
何とか追求をかわそうと建前を述べている所に本音としてこれが流れる。
まぁ、紛糾しそうな予測しか建てられませんし、
国の指針を決めようとする厳粛な場でこんなテロップを流してしまうのは
余りにも不謹慎な気がしたので、すぐにその考えを有耶無耶に戻しまして…
もう少しファジー(境界が不透明である事・あいまいである事)且つファニーな場面で
この言葉が利用できないかなぁと沈思する事暫し。
意外と面白いかもしれないなぁと思い付いたのは、
テレビから一度も試したことのないブイヤベースの映像が流れ、
そのグルメレポートで料理に舌鼓を打ち、
「おいし~っ!これヤバイ!」とエビス顔になっていたり
「魚貝の旨味が、この1皿にぎゅ~っと凝縮していて濃厚ですねぇ…」と
通ぶっているタレントの方の映像が流れておりました。
確かに「俺はこんなに美味しい所を知ってるんだぜ」とドヤ顔を決めたり、
そのお店をオススメするタレントさんの本が話題になって好評のようですが、
そんなドヤ顔のタレントさんの画の下にこのテロップを置いたら
中々に面白い反応が得られるかもしれません。
「えっ?実際は微妙なの?」から「自分で確かめに行かなきゃ!」と思考が動き、
ちょっと割高だとしても行きたくなるような宣伝効果が得られるような気がするのです。
物事の逆手を取るには、面白い事を考える王道として健在ですね。