10月9日号 『無用の長物?』
貴重なお時間を割いてまで、
このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。
『無用の長物』
意味は「あっても役に立つどころか、かえって邪魔になるもの」です。
逸般人にとっては、無駄に高い身長がその代名詞となっていますが、
全く別の所で、この『無用の長物』を強く実感した1シーンをご紹介します。
アレックス・ラミレスさん。
野球ファンならこの方の名前を聞くと顔が浮かぶと思います。
15年前にヤクルトスワローズに入団、主力として活躍を果たし、
何度も所属チームを優勝へと導いた外国人選手で、
本塁打王2度・首位打者1度・打点王4度・最多安打3度・ニ冠王にも2度輝き
外国人選手で初めて2000本安打を達成された「21世紀最強の助っ人」と称されても、
決して過言ではない名選手です。
また特筆すべきはその愛すべきキャラクター。
ホームランを打った時のパフォーマンスは、毎年改良が重ねられ、
観客を楽しませる事にも力を注いだ方でした。
そのラミレス選手が今年、横浜DeNAベイスターズの監督に就任され、
アメリカ人以外でプロ野球チームの監督に初めて就任したと話題となりましたが、
チームを率いた1年目の今年、クライマックスシリーズに出場した事のなかったチームを、
見事に押し上げました。
昨日から件のクライマックスシリーズが始まり、
今日は敗れはしましたが初戦で快勝しており、勝負は明日へと持ち越されました。
そんな昨日の試合終了後にそのシーンは訪れました。
終盤のみの観戦でしたが、ベイスターズの勝利の瞬間を見届け、
ハイライトまで通して、次に映されたのが勝利監督インタビューでした。
カメラ越しにラミレス監督の姿が映り、
勿論、外国人監督ですから隣には通訳さんが控えます。
「それでは、勝利監督インタビュー、ラミレス監督です」
担当アナウンサーの声から始まります。
そこから違和感が始まりました。
通常の外国人監督ですと、まずはアナウンサーが日本語で話を切り出します。
通訳さんがそれを聞き取って監督の母国語で耳打ちします。
それを聞いた監督が英語でコメントを発し、それを通訳さんが訳したモノを話します。
(中には放送できないような事を話したりしますが、それは通訳さんのフィルターで
瞬時に通訳しないようにするというテクニックもあるようで、
通訳さんにも相当な技術力や空気を読む力が必要だそうです)
という事は、アナウンサーの質問と監督の答えには若干のタイムラグが発生します。
しかし、ラミレス監督へのインタビューになると、
アナウンサーの質問を頷きながら聞いて、すぐに答えが返ってきます。
通訳さんの出番は、何故か英語で返ってくる答えを和訳して話すのみ。
しかも通訳さんの言葉も監督は頷きながら聞いて、
言いたい事が間違っていないかと確認しているように見えたのです。
考えてみれば、地方リーグに所属していた時も合わせて14年。
1年のうち半分を日本で過ごしていたとなりますと、7年は日本にいるわけですから、
流暢に日本語が話せているようになっていると考えると、
この監督に日本語の通訳さんは必要ないんじゃないの?と思えてくるのです。
外国人だから外国語を話さないといけないという事もないでしょうし、
何も質問に英語で答える必要もないんじゃないの?と思えてもくるのです。
この『無用の長物』感は久し振りに味わったような気がします。