10月4日号 『意味のない熟成』
貴重なお時間を割いてまで、
このような無駄文に目を通してくださいまして、本当にありがとうございます。
『熟成』という言葉にはどうしても魅力的な雰囲気を醸し出す何かが隠されています。
大辞泉でこの言葉の意味を調べてみますと・・・
1・成熟して十分な頃合に達すること。
2・魚肉、獣肉などが酵素の作用により分解され、特殊な旨みが出ること。
発酵を終えたあとにそのままにし、さらに味を慣らすこともある。
3・物質を適度な温度等の条件のもとに長時間置いて、ゆっくりと化学反応を起こさせること。
その代表格がワインでしょう。
高級レストランのロマンティックなワンシーンでソムリエにワインを持ってこさせ、
「君の産まれた年のワインを用意したから乾杯しよう」と
見た目にも気障な男性が格好を付け、それに感動した女性が情に絆されて、
ワイングラスを合わせて優雅なひと時を過ごす。
「そんな漫画のような事があるかいな!」とツッコミを入れたくなるようなドラマのワンシーンを
ご覧になられた方も多いでしょう。
ここ数年のブームで定着の傾向を見せているのが『熟成肉』でしょうか。
高価なステーキハウスに行くと必ずついてまわる『熟成肉』。
よくグルメ番組でセレブリティな方々が、最高級の熟成肉のステーキに舌鼓を打ち、
「うっわ!ひと噛みで出てくる肉汁がすごいですね!」
「すごーい!こんなの食べたら、いつものお肉が食べられなーい」と称賛の嵐を浴びせ、
「へぇ~・・・じゃぁ、しばらくは肉を食うなよ!」とか言いたくなってしまいます。
と、何かと高級路線へとシフトされると、
重要なキーワードとして登場する『熟成』ですが、
我が家にはどれだけ熟成しても全く意味のないモノもあるわけです。
時期的には、2年前の夏真っ盛りの頃・・・
避暑のつもりで某ショッピングモールに足を運びます。
しかし同じ事を考えている方は多く、モール内の人口密度も結構高いものでした。
そして、今年は下火でしたが、毎年のように叫ばれていたのが『節電の夏』。
その煽りも受けている様子の弱冷房。
人口密度の高い場所での弱冷房は、全く効果を果たしません。
モール内でも冷たい物を常備している方も多く、この日はアイスを食べている方も多く、
その群集心理に押されてか、逸般人もアイスを購入しました。
一時の清涼感を伴うアイスの効果は抜群で、一気に環境が快適に変わります。
そしてその快適が思わぬ副産物を生み出してしまいました。
木の棒を捨てようとすると、ちらりと見えた「1本当り」の文字。
当り付きのアイスで当ったなんて、まさに小学生の駄菓子屋の時以来です。
これはラッキーだと思ったのですが、ここで疑問が浮かびます。
「ショッピングモールで当ったら、どうしたらいいの?」と
駄菓子屋時代は、「おばちゃーん、当たったでー」と現物を差し出せば、
「は~い、じゃぁ1本持って行き」の掛け声をもらって、1本貰うのですが、
レジ打ちの人に「おばちゃーん、当たったでー」的に声をかけたら、
「は~い、じゃぁ1本持って行き」的な返答が返ってくるのか・・・
レジを通さないわけですから、一見すると「万引き」と誤解される可能性もあります。
「当たったんです!」と力説しても、証拠の木の棒はレジの方に渡してしまう以上、
疑いの目が向けられるのは自明の理と言っても過言ではありません。
とはいえ、みすみす当りの棒を捨てるというのも、
1本もらえる権利を放棄する事になり、実行へと踏み切れません。
結局、その当りの棒は自宅に持ち帰り、
自室で約二年ほど熟成してしまっているのですが、価値が高騰するわけでもなく、
まさに『意味のない熟成』の主は、
10月4日現在もボールペン立てに突き刺さって健在です。