たまたま寝坊した俺は異世界へ転生できず、絶望する
寝過ごしたー!
やべー!
そう思って、教室に駆け込んだ。
1時間目は英語だったはず。
だが、誰もいない……。
あれ?
今日は休みだったっけ?
あれ? スマホを見ても、今日は平日だし授業は既に始まっている時間。おかしい!
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そう思っていたのが10分前。
今の俺は、この学校に誰もいない事に気がついている。
他の教室にも、職員室にもいないってどういう事だよ!
今日、移動教室かなんかだっけ?
とりあえず、どうしようも無いから帰るか……。
だけど、人の気配が無いなぁ……そういえば、学校の前のパン屋もやってねーじゃん! あれ、隣のコンビニも店員がいない! 一応中に入って声をかけてみるが、誰も出てこない。いくらなんでも無用心すぎるだろう!
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いやー、本格的に誰もいない。
共稼ぎの両親が家にいないのはともかく、電話をしても出てくれないよ。
学校のそばの店どころか、そこら中の店も開いていない。
どうもこの世界、俺以外誰もいないみたいなんだな……異世界にでも転生してしまったか?
おや……なんじゃこりゃー!
俺の部屋のベッドの上になんか薄い透明な膜みたいなものが浮いている!
ん? なんか書いてあるぞ……ベッドに横になったら字が読めた……な、なんだと……
「
この世界に満足していますか?
異世界に行きたくありませんか?
転生する: Yes / No
」
おお……なんか変な選択肢が書いてある! これ、Yesを押したらいいのか? ……あああ!
「
残り時間: 0秒
」
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なんて事だ。俺の世界の住人は、みんな異世界に行っちまったみたいだ……たまたま俺だけ寝坊したばっかりに取り残されたのか! しかし、親まで息子の俺を残して行っちまうなんて、なんて薄情なんだ。
しかも、困った事に……
「いやー、俺は魔法の力と鑑定能力で無双してさー」
「私は、この世界の知識を使って、領地経営していたわよ!」
「ハーレム、最高だった! マジ異世界最高だったよ」
「ドラゴンを倒したら、幼女になってさ……」
……次の日に、帰ってきやがった。
「俺は金髪のロリ王女と、ドM聖女に懐かれてさぁ……」
話だけは合わせておいたよ。