36時間あるのに、何もしなかった
掲載日:2026/04/20
「あと36時間ある」
そう言って、窓の外を見た。
遠くで、誰かが叫んでいる。
助けられることは知っている。
その結末も、すでに知っている。
でも、何もしない。
ただ、見ている。
壊れていくその過程が、
いちばん“その人らしい”。
側に仕え、いつも守ってきた主人。
その主人を、俺は殺す。
それが、俺の役目だから。
人気のないところに呼び出し、正面から刃を突き立てた。
主人は一切の抵抗をしない。
ゆっくりと、視線があった。
その目が、ほんの少し細くなる。
「……やっぱり、そうなるんだ」
そう言って、微笑んだ。
その声だけが、静かに落ちていった。
お読みいただきありがとうございました。
何か引っかかるものがあれば、それがこの話の核です。




