仕事斡旋殺し屋とびしょ濡れ魔女
どうも井中です。第2話を更新します。あらすじの注意書きにも書きましたが仕事している場面は書きません。次回は初回の仕事が終わった後の事後の話です。時間があるときに読んでくださると幸いです!。
「・・・すみません。お風呂とかって貸していただけませんか?」
「・・・・ほらな。戻ってきた」
「はぁ、そうだな。だが仕事をしてくれるかはわからんだろ。あの小娘に務まると思っているのか?」
「うん。僕は思っているよ」
「ちょっと!。お風呂とか貸してもらってもいいですか!。私濡れてて風邪ひきそうなんですけど!」
「あ、・・・ごめん。お風呂はあのソファーの後ろのとこにある。使っていいよ」
漸く話を聞いてくれたと思ったら、案内をするわけでもなくお風呂があるほうに指をさしていた。
「ありがと。ありがたく使わせてもらうね」
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「結構古いのかなって思ってたけど、そうでもないのね。新しくリフォームされてる」
浴槽にはすでに温かい湯が張っており、私が戻ってくるのを見越していたのかと思った。
「それでも普通に入ろうとしてただけなのかな」
「・・・お湯下加減とかどうですか」
「うぇえ!?。いきなり何!。急に声をかけてこないでよ。びっくりしたぁ!」
「すまん。ただもう二時間くらい入っているから」
「え!。もうそんなに入ってたの!?。ごめん、すぐに出るね」
「・・・まだ入っててもいいけど。着替えはここに置いておくね」
そう言い残すとすっとその場から気配が消えた。
「はぁ。びっくりした。この湯船の香りが良すぎるのが悪いのよ。そうに決まっているよ。・・・出よ」
「あ、ほんとに着替えがある。・・・なんかいやだなぁ。誰のなんだろ」
まぁ着るものもないから仕方なく着るとすべてのサイズがぴったしだった。
「ちょっと怖いくらいちょうどいいのだけど。」
「・・・着替え終わったか?」
「きゃぁ!!。もういきなり現れないでよ。そんなに急かすなんてもてないよ!」
「ごめん」
「はぁ着替えましたよ。それで何か用なの」
私は名前も知らない男の子を見つめて言うと男の子はこくりとうなずいた。そしてこっちに来てと言わんばかりの眼差しを向けた後に踵を返して戻っていった。
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「君に話がある。僕と一緒に仕事をしてほしい」
開口一番に放たれた言葉はそんな脈絡もないものだった。
「いや」
「・・・お願い」
「いや」
「・・・お願いします」
「・・いや」
「・・・お願いします」
「・・・・・・はぁわかったわよ。ちょっとだけだよ」
目の前の男の子は泣きそうな顔をしていていたたまれなくなり、私は返事をした。お風呂かしてもらったお礼もあるしね。返事を聞いた男の子は聞いた瞬間に満面の笑みを浮かべた。
「で、どういった仕事なの?」
「・・・それは、お掃除をする仕事だよ。今から行くよ」
「え、うんわかった」
お仕事は掃除をすると言われ、簡単じゃんと高を括ったのが運命の分岐だと知るのはもう少し先のことだった。