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四天王の花婿

作者: 龍崎 明

 ここはクリュサオル魔王国。魔族の治める大国である。つまりは異世界だ。


 そんで俺は、そんな世界に竜人として生まれた男、テュフォンである。


 魔王をやっている。


 ここまで聞いて、チートご都合最強勝ち組勘違い野郎と思った奴らに言っておく。魔王つらたん……。


 まず、この世界の竜人は、人型ドラゴンなんて恵まれた種族のことじゃねぇ。リザードマンだ。つまり、人型爬虫類だ。変温動物らしく、冬はマジつらたん動きたくねぇ。てか、凍え死にかねん。


 そんで、魔王ってのは四天王の花婿のことを指す。ハーレムじゃねぇか、やっぱチート野郎だなと思った奴、考えが甘い。


 四天王ってのは、実質的なこの世界の支配者だ。女怪族の長たちのことを指す。


 女怪族というのは雌性体しかいない魔族の総称で、彼女たちはとんでもなく強い。他の魔族が束になって掛かっても欠伸しながら伸してしまえる本物のチート種族だ。


 魔王ってのは、そんな女怪族の長である四人のクイーンの種馬となる憐れな生贄のことを指す。


 一人目。『火』の四天王ラミアクイーンのエキドナ。


 彼女は、下半身が蛇のようになっているラミア族の長だ。行為中は、その蛇体で絡みつき、俺の身体を容赦なく締め上げる。はっきり言って痛い。DVだぜ、こんなん……。


 まぁ、彼女は武人気質だから、嗜虐心でやってるわけではないのが救いだ。弱者であり、守るべき者として俺は扱われている。


 二人目。『水』の四天王スキュラクイーンのカリプソ。


 彼女は、下半身が蛸のようになっているスキュラ族の長だ。生粋の怠け者で排泄の世話すらしてやらなければならない。そして、周囲の者たちがさっさと子を成せと煩いので、あれこれ宥めすかしてやる気にさせる必要がある。


 まぁ、たまに一緒に怠けようとか言ってくるので好感度はあるらしい。世話役は四天王なので、使用人がいるわけだしな。


 三人目。『地』の四天王アラクネクイーンのエンプーサ。


 彼女は、下半身が蜘蛛のようになっているアラクネ族の長だ。なお、余談として女体の咲く花とされるアルラウネは、この世界ではアラクネ族の婿取り儀式から生まれた伝承のようだ。蜘蛛の下半身を地中に隠し、異世界に自生する大きな葉や花弁でそれらしく偽装する。そして、罠に掛かった、つまり、自身の魅力に靡いた男を捕まえて強制的に婿にしてしまうらしい。


 ともかく、彼女は陰気である。四天王としては、優秀な死霊術師ネクロマンサーで自身も大鎌を振り回すオールラウンダーな実力者なのだが、女としての魅力には自信がないらしい。子作りの順番が回ってくると、愛のない行為なんてしないという被害妄想の元に逃げる。隠れんぼの始まりである。なお、見つけられないと俺は臣下たちに怒涛の説教をくらうハメになる。


 四人目。『風』の四天王ハーピィクイーンのイリス。


 彼女は、翼を持って空を飛ぶハーピィ族の長だ。行為は空中で行われる。間違って落下したら死んでしまう。そして、これは彼女個人の嗜好だ。ハーピィ族にこのような作法はない。


 普段は、稀代の呪歌唄いとして魔王軍の癒しとなっているアイドルだというのに、その本性は嗜虐心一色の高飛車お嬢様である。つらたん……。


 これでわかったろう。俺は転生者だが、それなりに苦労しているのだ。え?魔王に選ばれた理由?


 ……喧嘩祭りで優勝すると魔王になれる。つまり、ハーレム最高ヤッホーと俺はホイホイ参加してしまったのだ。つまり、自業自得だな、チクショウ!

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