6.アベルくんと子供部屋。
6.アベルくんと子供部屋。
・大事なお知らせ
残念なお知らせと嬉しいお知らせがある。
夜寝る部屋がローランド夫妻の寝室から子供部屋に移された。
悪戯が過ぎたか。 面白かったのに残念だ。
「子供部屋」と呼ばれている今いるこの部屋は俺やロッティー個人の部屋というわけじゃなく、城の子供たちを集めて遊ばせるための部屋らしいんだ。
だから子供が数人で少々暴れようが平気な広さになっている。
託児所とか学童とかそんな感じの部屋なのかな?そこまで福利厚生のあるお城なの?
まあいい、それは置いておこう。
それに伴い、俺に乳母がつくことになった。
マリアさんというハーフエルフだ。
エルフという種族と言えば、ご存知かと思うが耳が長い。
そして儚げで綺麗な人だ。
アリアンナ母さんが太陽なら、マリアさんは月って感じ。
エルフという特殊性があるのだろうか、前世のファンタジーが語るそれと同じく、マリアさんの胸部は控え目だ。
アリアンナ母さんに抱かれていた身としてはだいぶ淋しい感じになってしまった。
仕方ない、胸に貴賎はないしね。
マリアさんの旦那は騎士だったんだけど、モンスター討伐で逆にやられちゃったそうだ。
それで騎士の未亡人となってしまったマリアさんを、乳母として雇うことにしたんだってさ。
マリアさんの子供も俺と同じ時期に生まれたばかりで、幸せいっぱいだったろうにね。
でも、乳母として雇い入れるには、丁度良かったってわけだ。
その子供が女の子なんだがアンネローゼと言って、ベビーベッドの中でいつも並んで寝るようになった。
マリアさんのなくなった旦那が人間種だったから、クォーターエルフってことだね。
まだ新生児だから、そこまで女の子的可愛らしさとか出ない筈だと思うんだけど、この子ったら、びっくりするほど可愛い。
マリアさんのように儚げな感じもありつつ、強い生命力みたいなのも感じるんだ。
並んで寝ているんで間近に顔があるんだが、ふとした瞬間、ハッとするほど可愛く見える。 そしてたまに目があった瞬間、ニコっと笑ってくる。
なんだよこいつ、今時の新生児はませてんなぁ。
この子を見るロッティーの顔が険しいような気がするんだよなぁ。
新生児に対して、いったいなんなんだろうね。
そんなこんなあったら、何故かロッティーも同じ部屋で寝るとゴネたらしい。
しかし、両親の説得により渋々引き下がったみたいだ。
ロッティーはわがまま言う子じゃないと思ったんだけどな、不思議なこともあるもんだ。
そんなロッティーは普段この部屋で遊んでいる。
遊んでいるというか、メイドを相手に勉強したり本を読んだりしているようだ。
周りの話声が聞こえて知ったことなんだが、ロッティーは天才とか神童とか言われているらしい。
なんでもこの城の蔵書である大辞典を3歳の時にすべて読破して、まるっと記憶したそうだ。
たまにアリアンナ母さんが単語や事柄を質問してみるが、その単語の内容と何巻の何章の何ページの何段目って、どこに書いてあるかまで答えちゃうんだってさ。
今は百冊以上あるこの国の歴史書を紐解いているとか。超かわいくて大天才。完璧超人か。
そして、嬉しいお知らせの発表です。
そのロッティーが魔法の練習を始めることとなりました。
魔法だぞ魔法。マジあったのか。
いや、周りの会話で存在しているのは知っていたんだけどさ、目の当たりにしなければやっぱりね。
更に聞くところによると、アリアンナ母さんは、魔法の超上級者らしい。
なんでもA級冒険者だったんだそうだ。
よくわかんないけど、凄い人だったんだね。
そんな人が実の母で、これから娘に魔法を教示するわけだ。
オラ、ワ…うん、せっかく会話が聞こえる範囲で講義をしてくれるんだ。
俺も一緒に頑張って履修せねばな。
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