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28.アベルくんとお城の話。

28.アベルくんとお城の話。




ヴァレンティアの公的施設のご案内。


 最初は何と言ってもヴァレンティア城だろう。


 前線になることを想定しているから、城と言っても要塞だよね。

 だから遠目ではなんだか優美とか言われているらしいけど、近くで見るとデカい石を組み上げて作り上げてあるんで武骨だ。


 内部は俺たち家族それぞれの部屋、使用人たちの部屋、子供部屋、VIP用客間、普通の客間、食堂、炊事場、父さんたちの執務室、会議室、謁見の間、大広間、中庭には庭園と図書室、エトセトラ、エトセトラ。


 ああ、礼拝堂があったよ。ノヴァリス国民は多神教だからね。自分たちで祀りたい神をチョイスしてするんだってさ。

 で、ヴァレンティア城で祀られているのは、戦争と平和の神アルケイオン。

 いかにも辺境伯家って感じだよね。


 戦争の後に平和が来て、平和の後には戦争が訪れる。表裏一体の美貌の女神様なんだそうだ。

 トレーサのように会えるかな?

 ん?この考えはフラグか?


 さて、ちなみに俺には一部屋あてがわれるようになった。

 自分の部屋が出来たことで、魔法の実験が捗る、捗る。

 時々ローズが空気読まずに黙って入ってくるから困るんだよなぁ。


 ノックしろよ~って文句を言うと

 「見られて困ることでもあるんですか?」

 って言いやがる。

 生意気なちびっこメイドめ!尻尾をモフらせろ~!


 外には体育館の様な室内修練場と併設された医務室、グランドのような野外修練場。

 そして大きい倉庫。食料の備蓄、城の備品が仕舞ってある。

 

 その外れに騎士団の詰め所がある。

 独身の騎士はほとんど詰所の寮に住んでいるね。市内に実家のある騎士がそこから通っているみたいね。


 妻帯者の騎士は城外の官舎に住んだり、市内の家を購入してそこに住んでいる。


 そして城から下がったところに王国軍の駐屯地がある。

 駐屯地は結構広い。駐屯している人数が多いからね。

 寮や官舎の土地だけでも大変だ。


 よく野外修練場で合同訓練しているのを見かけるよ。時々チャールズの大きい声が良く聞こえてくる。

 がんばっているなぁ。


 なんだかまだあまっている土地があるんだが、その使い道は俺が考えてある。


 ああ、忘れてた。牢屋と塔もあるな。あまり近付きたくもないが。


 

 市内に入ると、ヴァレンティア城支署がある。

 ありていに言えば役場だ。


 市民からの領主への上申、各種申請、戸籍受け付け、税の受付と相談、これらを一手に引き受けている。

 上申関係はありとあらゆる物を区別せずまとめて領主行き。

 領主として市井に耳を傾けることは必要かもしれないが、こんなことしているから仕事が終わんないんだよ。


 話は変わるが、驚くべきことにノヴァリス王国の識字率は80%を超えていると言われている。(ロッティー大百科事典調べ)

 これは小さな私塾や教会経営の塾が市内に点在しており、国や領主等がそれらに補助金を出し、子どもたちの教育を奨励しているからだ。

 もちろん俺の前世の親のようなクズは一定数居るだろうから、親ガチャに失敗した子は残念ながら残りの20%になってしまう。

 


 ローズんとこは、子沢山でローズを塾へ行かせるお金がなかったんだっけ?

 丁度よく俺のお付きメイドの話が来て、城で働きながらロッティーから教育を受ける事になった。

 ローズの下の兄弟たちは、ローズがお金を出してあげて塾へ通わせているらしいよ。

 ええ娘や。


 孤児院にも補助金を出して教育を奨励している。

 クズの親元のところにいるより、孤児院に入ったほうが教育を受けられるってことだ。


 教育の内容は基本的な読み書き。それと四則演算も教えている。

 小さな村や集落では、村長や代表が責任をもって子供を教育することが国王の命によって義務づけられている。


 

 このようなシステマティックな教育制度を誰が考えたか。

 英雄王ノヴァリスだ。

 もうね、なんとなくわかってくるよね。なんとなくね。



 どっしりと構築された教育機関で培った基礎学力を持つ市民は、ちょっとした上申書の作成くらいまったく苦にならない。

 だから上申書も数多く送られてくる。

 分別するにも圧倒的な文官不足。

 税制関係も支署だけじゃ解決できない問題も出てくるから、結局領主に回される書類も多い。


 てなことでね、そのうちロッティーと相談して官僚制を敷くようにヴァレンタイン辺境伯閣下に具申しようかなと思う。

 楽になるよって言えば飛びつくと思うんだ。

 たぶん。

 

 俺の代でこんな事やってらんないもん。

 官僚養成学校を作る。

 これはマスト。

 

 官僚養成学校入学試験も必要になるかな。

 面接も。

 入学希望者は貴族、市民、種族、性別問わずになるだろう。


 学はあっても家の中で冷や飯食ってる貴族の長子以外の子供たちとか。

 市民にも優秀な人は多いはずだ。身体が弱くて冒険者になれない奴らもね。

 種族的にもエルフなんかは地頭がいいから大歓迎だね。


 でも、こんな改革をして官僚養成学校で目覚めた女子たちにジェンダー論争とかぶち上げられたらどうする?

 どうしよう。

 めんどくせー!


 でもさ、俺が心配しなくても、王室や各地の領主がジェンダーは潰しちゃうよな。

 封建制度なんて現代風に言えば、ガチガチの右翼政治なんだからさ。

 

 とにかく、城敷地のあまった土地に官僚用の学校及び事務所を建て、みっちり官僚を養成する。

 教師はヨハンとネスに講師役を頼みつつ、他の人員を教師として更に養成すればいい。

 後は秘密兵器ロッティーだ。

 校長に据えようと思ってるのは、アリアンナ母さんだ。

 おそらくこれ以上の適任者は居ないだと思うんだ。


 ガバナンスやコンプライアンスに対する要綱についても考えなきゃな。

 封建制度内ではいらないとは思うけどね。



 まぁ、3歳児が考えることじゃないけど。



ここまで読んでいただき、有難うございます。

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