27.アベルくんと領地の話。
27.アベルくんと領地の話。
では、我がヴァレンタイン辺境伯領について説明しようか。
領内人口約38万人
領都は城塞都市ヴァレンティア
ヴァレンティア内人口24万人
結構人口が多い。渋谷区くらい?
人口は増える一方だから、城塞の拡張工事はひっきりなしだ。
税の収支計算も大変だろう。
ヴァレンティアの街並みは、見た目中世ヨーロッパ程度の文化レベルのように見えて、魔法や魔道具が発達しているおかげで、案外生活は快適だ。
水道は前世でいうところのローマ水道のような形で引かれている。
届かないところは水を出したりお湯を出したりできる魔道具が存在し、それが活躍。
この魔道具のお陰でトイレもほぼ水洗。
汚水は下流の貯水池にて魔道具を用いて過熱し、微生物により発酵させた物を汲み上げ、たい肥として農家に売っている。
勿論汚水はその過程で浄化され、真水となって河川に流される。
しかし、この施設は臭い、鼻が曲がるほど臭い。ここの仕事に従事している作業員の皆様、いつもご苦労様です。
一体こんなシステムを誰が考え付いたのかと思っていたら、生きる大百科事典ロッティーが英雄王ノヴァリスの発案だと教えてくれた。
発酵をインフラに組み込むなんて並の人間じゃないよね。
1500年前の人間だけど、何者なんだろう。謎だ。
火の扱いだが薪を使うかまどもあるが、コンロ型の魔道具もある。
明かりもほぼ魔道具。俺の感覚だと、LED電球の50%くらいの明るさかなって感じ。
街灯なんかも整備されている。
いわゆるライフラインがほぼすべて魔道具で賄えている。
各種魔道具は買うと価格はそれなりにするらしいけどね。
このように魔法と魔道具によって整備されている都市部には人が集まりやすい。
ヴァレンティアに人が集まる要因は他にもあるが、あとで説明しよう。
先に説明した魔道具だが、無制限に使えるわけではない。
エネルギーに準じるものが必要だ。
それが魔石。
魔石はどこでとれるか?
それは魔獣ともモンスターとも言われる者達からだ。
地上にはほとんど見られないが、稀に地上の動物が天然の魔素溜りに当てられてモンスター化する事例があるようだ。
しかし多くのモンスターが存在しているのはダンジョンだ。
我がヴァレンタイン辺境伯領には大小さまざまなダンジョンが13か所ばかり存在している。
その中にノヴァリス王国最大のダンジョン、「深紅の大穴」がある。
ここは、地下洞窟になっているダンジョンで、まだ最深部まで探索はされていない。
モンスターの数が豊富なことでも有名で、魔石の一大採石場となっている。
大きい魔石や、レアドロップアイテムが出れば一攫千金が夢ではない。
そのヴァレンティアドリームを夢見て、冒険者志望者がヴァレンティアの冒険者ギルドにひっきりなしに訪れる。
その冒険者を当てにして、商売をするものも定住する。
こうしてヴァレンティアの人口は年々増えて行っているのだ。
勿論へまをかまして、一定数ダンジョンの中に沈んでしまう冒険者もいるけどね。
このリスクを冒して冒険者になるのだから仕方ないね。
前述のように、ヴァレンタイン辺境伯領はノヴァリス王国内で魔石の一大生産拠点となっている。
ぶっちゃけ潤っているのだが、ブラック企業ヴァレンタイン辺境伯領は絶賛ローランド父さんを酷使中ってわけだ。
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