4.田中さんの一週間。
4.田中さんの一週間。
生まれてから一週間程度経過したようだ。
時間経過の感覚はホントあやふや。
寝て起きて泣いてお乳飲んで寝て、お尻が気持ち悪くなって起きて泣いて、サッパリしたらまた寝て。
この繰り返しだからね。
時間間隔がわかんないけど、夜泣きもしているんだろうな。
ゴメンよママン。
でもさあ、母の胸に抱かれるって、ほんとにいいもんだなぁ。すごく安心する。
そして、その大きさが感動的だ。
身体が小さくなったからこそ、こんなに大きく感じるのかもしれないけど、確かにこのお母さんの胸は大きい。
今はその大きな胸に抱っこされて揺られている。
これが寝かしつけってやつだな。
授乳による安心感も、だんだんと慣れてきたらしく即効性は薄れてきた。
それで、今は胸に抱かれ揺らされて寝かしつけられているわけだ。
面白いのは、こうやって思考することはできるのに不思議なことにお腹が空けば意識しなくても泣いてしまうし、おしりが気持ち悪ければ泣いてしまう。
そして、安心感の源であるお母さんが近くにいなくなると、やっぱり泣いてしまう。
どういう仕組みなんだろうね?
交感神経のせいなのか、副交感神経のせいなのか、条件反射の成せる業か。
セミオートで育つ俺。人体って不思議だ。
ああ、サービスで笑ってやることもできるよ。
俺が笑うだけで周りが和やかになる。
大したもんだよ赤ちゃんスマイル。
おい、そこ!俺の笑顔を見ながらキスしてんじゃねー!泣くぞ。リアルで。
けど、思考ができるのも厄介なもので、とにかく暇なんだよね。
寝るかお乳を飲んでいるかしかないからな。
でも、周りの会話を聞いているうちに、なんとなく言語の感覚が育ってきたような気がする。
うっすらと何を言っているかわかってきたような気がするんだ。
この体の地頭が良いのかな。
とにかく周りの動向を探りながら、赤ちゃんを続けるしかないか。
こうして赤ちゃんロールプレイが始まったのである。
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