358.アベル君と首都のデート。
358.アベル君と首都のデート。
週末、俺は予定がポッカリ空いていた。
実に素晴らしい。
というわけで、俺はベッドで惰眠を貪る気満々なのだが、そうはローズが許してくれない。
「アベル様。朝ごはんが出来ています。起きてください。」
「局所的にはバキバキ起きているんだが、俺個人としては起きる気がしないんだ。」
「馬鹿な事言っていないで、ほら起きてください。」
そう言って、ローズはシーツをはぎ取った。
まあ、局所はバキバキおっきしているわけだが、既にローズは意にも返さない。
恥じらいというものが欠如しているのだ。
そこ、お前もなとか言わない。
「その状態でトイレに行かないで下さいね。あとが大変なんですから。」
「僕は寸分たがわず狙いを外したことがないはずだが。」
「はいはい、凄いですね。そろそろ別の個所を狙ってほしい物ですが。」
「何?もう欲しい?そうだよね。」
「でもアベル様が学生の間は我慢しなければなりませんから。」
そう、流石にメイド登録している女性を孕ませたとあっては、学校内でバツの悪い思いをしなければならないのだ。
でも避妊ポーションがこの世界にはあって、百パーセントとは言わないが高い確率で妊娠を防いでくれる。
しかも、一晩一回ではなく、二週に一回程度の服用で良いのだ。
だから、血気盛んな十代の身体を持つ俺としては、申し訳なく思いながらも、ポーションを購入しローズに服用してもらっている。
本当に申し訳ないと思っているんだからね!
「そだね。さて、ご飯でも食べようか。ローズ、その後予定とかある?」
「今日は買い物洗い物もありませんから、特に予定はございません。」
「だったら、街でもぶらつきに行こうか。」
「いいんですか?」
「いいんだよ。僕とローズしかいないんだから。」
俺がそう言うと、赤い顔になったローズは俯き急にモジモジとして、小さく
「はい。」
と、言った。
誰だ!ローズに恥じらいが無くなったとか言った奴は!
あ、俺だった。
もうこのローズの顔を見られただけで、一週間は我慢できるね。
嘘です、ごめんなさい。
我慢できるわけないです。
今からでもベッドに引きずり込みたい衝動に駆られるが、ぐっと抑える俺。
おっきし過ぎて痛いです。
そんな股間の様子をローズは凝視している。
人類みなスケベ。
産めよ、増やせよ、地に満ちよ。
男も女も、そんなふうに身体が作られているのだから仕方がない。
しかし、ここは我慢だ。
そうした方が後々夜のベッドで色んなバフが付くってもんよ。
「さあ、さあ、食事、食事。」
若い身体はテントなんて張らないんだよ?
百七十度くらい天を仰ぐ。
お腹に当たってしまうくらい。
俺はそんな状態でリビングに歩き出した。
黙って股間を凝視していたローズは、しばし固まり俺のことを見送っていたのだが、はたと気が付くと慌ててキッチンに向うのだった。
食事するとね、自然と各所が落ち着くんだよね。
「演劇でも見ようか。」
「今は何をやっているのでしょう?」
「うーん、そのリサーチはしていないなぁ。まあ、行ってみて気に入らなかったら買い物でも行けばいいんじゃない?」
「そうですね。そうしましょう。」
俺たち二人はそう言って、笑いながら食事をした。
そして、着替え。
ローズは何故かメイド服で表に出ようとしているので、俺はそれを制止する。
そして、余所行きの服を出させ、俺が見ている前で着せ替えさせるのだった。
痛くなりそうだったが、なんとかなった。
ふう。
俺は寄宿舎の小間使いさんを捕まえ、辻の馬車を拾いに行ってもらう。
勿論小間使いさんの手には銅貨一枚を握らせた。
「さすがヴァレンティアの至宝様は気前がようござんすね。」
などと言われたが、俺はニッコリ笑って
「手早くお願いします。」
とだけ言った。
小間使いさんはすっ飛んで道路まで出て行ったけどね。
そして、小型の馬車が玄関に横付けされ、他の生徒が使おうとするのを小間使いさんが制止している。
「悪いね、この馬車は僕が呼んで貰ったんだ。」
その生徒に僕が一言言うと、馬車に乗り込まんとしていた生徒たちは他に行ってしまった。
俺はローズをエスコートし馬車に乗せてあげてから、自分も乗り込み狭い席に腰を下ろす。
「さあ、行こうか。御者さん、街のロータリーまで行って。」
俺がそう声を御者さんに掛けると、馬車は軽快に発車するのだった。
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本作は長編となっています。
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