24.アベルくんは三歳児
第二章
24.アベルくんは三歳児
この度、おかげさまで3歳となりました。
出生致しまして早三年、色々ございましたが、皆様方から多大なるご尽力を賜り、何とか無事に過ごすことが出来ました。
これからもまた、なお一層のお引き立てのほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
などと、3歳児がペラペラしゃべるわけもなく。
でも、ヴァレンタイン家には、ロッティーというケーススタディが居たもんだから、2歳児3歳児がペラペラ難しい言葉をしゃべっても、さしたる問題でもないようだ。
とりあえず、ちょっとフェイクは入れるけど、流暢に話しても怪しまれることもなく、また元気に走り回れるようにもなった。
身体は子供、頭脳はおっさんの出来上がりである。
ここに至るまでの、2年と9か月の軌跡を説明しよう。
あ、一応言っておくと、暦や時間は若干のズレはあるようだが、ほぼグリニッジ標準時と同じようだ。
月の呼び方がちょっと違う。一つの月(1月)、二つの月(2月)って感じ。
物腰柔らかな感じでいいよね。俺は嫌いじゃないよ。
それでだ。
父さんと、爺ちゃんの山賊退治は無事終了したらしいが、山賊の頭が他領から追い出された不良騎士だったらしく、巧妙な罠を仕掛けられ山側から追い込む担当をしていた冒険者サイドが引っかかり、犠牲者は少なかったが山賊の頭を取り逃がす失態があったらしい。
冒険者サイドの責任者が領主の父さんなわけで、あの温和な人が荒れてたよ。
母さんが、なだめるのに必死だったから、相当だったんだろう。
そこへ来ると爺ちゃんは、ケロッとした顔で帰ってきた。
さすが元王室近衛騎士団長は胆力が違うんだろうな。
ロッティーの魔法訓練はいまだ続いている。
と言っても、イメージを磨くトレーニングが延々と続いている。
「母様、鬼だわ」
と、ゲッソリした顔で俺に言ってくるのは勘弁してほしい。
アンネローゼだが、巫女とか聖女とかであるって正体は、今のところ誰にもバレていない。
能力の発現がまだだしね。
何かしらの切っ掛けが必要だろうし、まだ魔素を感じる訓練も行っていない。
いずれ俺が施すことになるのだろうか?
めんどくさ。
そうも言ってられないが。
そして、当の本人はピッタリ俺について回って、俺の金魚のフンと化している。
それを見かけると、ロッティーも俺にピッタリくっ付く。
そこにお付きのリサとローズが付いて来るもんだから鬱陶しくて仕方がない。
アンネローゼが俺にくっ付いて歩くのは基本その方がいいんだが。
守りやすいしね。
他の連中は邪魔。
魔法の訓練とかやり辛くって仕方がないんだよね。
そして、トレーサはいまだ戻らず。
マジで観光中なのか、あいつ。
ふざけやがって。
とりあえず
ヴァレンタイン辺境伯領ヴァレンティア城は今日も平和です。
ここまで読んでいただき、有難うございます。
☆の評価ポイントとブックマークで得られる作者の栄養があります。
よろしければ、下にある☆とブックマークをポチっとしていってください。
どうかよろしくお願いします。
この作品を気に入ってくださると幸いです。