355.アベル君と魔法の壁、身分の壁。
【大事なお知らせ】
本日10月18日でめでたくこのお話も1周年を迎えました。
読んで支えて下さった皆様のお陰です。
大変ありがとうございます。
これまで毎日更新を続け、休んだのは2024年12月31日のみ。
走り続けてきましたが、些か疲れました。
ですので、一週間ちょい、お休みを頂きたいと思います。
10月18日から10月26日頃まで。
皆様にはご迷惑をお掛けしますが、何卒よろしくお願いします。
何かありましたら、Xの方で報告いたしますので、ご確認ください。
355.アベル君と魔法の壁、身分の壁。
え?サークル?
やってるよ。
さすがに毎日は鬱陶しいから、週三回だ。
リザナは未だに魔素を感じることが出来ないでいる。
「師匠、私には才能がないのだろうか?」
リザナは無表情な、しょげた顔で俺に言ってくる。
「十五年間も感じられなかったものが、二週、三週間修練しただけで、感じられるわけないだろ?お前は自分が天才か何かだと思っているのか?」
「いえ、そんな訳ではないが。」
「遅くても十歳になる前から修練しなければならないことをしているんだ。前にも言ったが、十五歳からの修練は正直遅いんだ。でも諦めたくはないんだろう?」
「はい、師匠。」
「ならば続けるのみだ。な、リザナ。」
「はい、師匠。」
こんな感じ。
で、サークルにまた人が増えた。
と言っても、騎士学団幹部会から二人。
テオドールとイーディスだ。
オスカーをはじめ、ジーナやリックがやっているのを見て、面白そうだと思ったらしい。
テオはまあ分かるが、イーディスさんはそんな話したことはないし、遠巻きに見られてる感じがする。
まあ、そういう距離感の人が居るのは全然かまわないし、むしろそれが自然なんだろう。
そしてさらに増えそうな予感が。
俺たちの活動を遠巻きに見ている集団がいる。
その集団を見て、フランカがソワソワしている。
「フランカ、どうした?」
「向こうで見ている人たち、平民の人たちなんです。」
ああ、なるほどね。
剣士として、騎士として一流になるのには魔法が実は必要である。
ファイアーボールとかの攻撃魔法じゃなくて、身体強化とか、バフね、バフ。
それは魔法のカテキョを雇わないと分からない事実だったり。
勿論、貴族だったり、騎士だったり、冒険者でランクが上の人間は知っている。
一定程度の教育を受けるから、その立場に居られるんでね。
そして、魔法のカテキョの授業料がまたクソ高いらしいんだな。
だから平民にはなかなかその事実が波及しない。
そして、遠巻きに見ている連中は、剣の腕だけで一流の騎士になれると思って騎士学校に入ってしまった連中だ。
そして魔法が必要という事実をここで知る。
酷いよな。
レーサーの学校に入ったら、国際ライセンスが必要だよって言われるのと同じ。
ん?違う?
まあ、いい。
あいつらも一緒に練習したいのだろう。
しかしここの連中のメンツはどうよ。
一年生は五人。あとは二年生で、全員騎士学団幹部会。
しかも上級貴族が二人に、おまけに王太子。
この連中に向かって、「俺も入れてくんない?」と気軽に言えるような教育を受けた民草はいないはずだ。
とりあえず貴族とのことは避けろ、これだからな。
遠巻きに見ている連中がだいたい十二人程度。
入れるのはやぶさかではないが、潜在的な人数は更に多いだろう。
今見ている連中を入れれば、俺も私もと来るのが目に見えているな。
そうすれば、俺とローズのイチャコラタイムが減るではないか。
考えてみれば、ライラ女史が面倒みるべき事柄なんじゃないか?
授業だって、魔法の基礎を繰り返すだけで、近接戦闘と、攻撃魔法が成り立たぬ研究も進んでないようだし。
サボっているとは言わないが、怠慢ではあるな。
どうせ、十五歳も過ぎた連中を修練したって、魔素なんか感じられないと高を括っているのだろう。
「何とかなりませんか?」
そんなことをフランカは言ってくる。
フランカがフランクに。
ごめんなさい。
「俺は迎え入れるつもりは無いぞ。リザナは自分から教えてほしいと来たのだ。だから教えている。人がやって貰っているから私もなどと、遠巻きに見て手をさし伸ばしてもらうことを待っている様ならば、その機会はないだろうな。機会は自分で掴み取るものだ。」
「わかりました。」
そうフランカが一言言うと、その遠巻きに見ていた連中の所に駆けて行った。
まずったね、こりゃ。
読んでいただき、有難うございます。
本作は長編となっています。
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