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348.アベル君と若人の集い。

348.アベル君と若人の集い。




 俺はグスタフさんに言われてしまったので、仕方なくレオを探す。

 野郎はどこに居るんだか。


 そこに一人の影が近づいてきた。

 「アベルゥ~、どこ行くの?」


 ありゃ、しばらく会ってなかったんで気を抜いたら出てきたか。

 ジーナ先輩である。

 

 「校長室ですよ。」

 「あ~、朝の騒ぎで校長に詰められたのね。」


 「別に詰められていません。これからの方針を話し合っただけですから。」

 別に隠す必要もないし、俺は正直に話した。


 「ふ~ん。で、これからどこに行くの?」

 そこまで聞かれて、俺は渋い顔をジーナに返した。


 「ついて来るつもりですか?」

 「そうよ。アベルと居るの何か起こりそうじゃない。」


 まったくもってけしからんが、だいたい事実である。

 自分ではトラブルのネタから遠ざかろうとすると、なぜかトラブルがやってくるのだ。


 このジーナの様に。

 俺とジーナで廊下を歩いていると、俺を遠くで見付けた美丈夫が駆け寄ってきた。


 「アベル!貴様また騒ぎを起こしたな!」

 オスカーである。


 「なんだ、ジーナと一緒か。ジーナはまだアベルを狙っているのか?」

 「そうですよ、殿下。この子面白いじゃないですか。それに私をあそこまでコケにしてくれて、髪まで切った。もうそこまで辱められたら、一緒に居るしかないでしょう?」


 この世界の女子の髪は、めったやたらに他人が触っていいモノではないらしい。

 家族など、近しい者しか触ってはいけないとか。


 そのジーナの髪を俺は知らないで決闘中に切ってしまった。

 それからジーナの付きまといが始まったのである。


 なんで女に囲まれた幼少期を過ごしながら、その風習を知らないのかって?

 それこそ女に囲まれていたせいだ。


 母さん、ロッティー、という家族はもとより、ローズやリサといったメイド達も俺は家族と思っていたし、俺が触ろうと何も言わなかったからね。


 それに俺自身を他人の男して奴らは見なかったから。

 と、言い訳を並べてみても、俺の腕に自分の腕を絡ませてピッタリ胸をくっ付け歩くジーナを無碍にできないんだよね。


 「で、どこに行くのだ?」

 オスカーが聞いてきた。


 「何?オスカーもついてきたいわけ?」

 「なんだ?いけないのか?」


 「うん。」

 「なんだと!校長に呼ばれたと心配して探してみればその仕打ちか!」


 「仕打ちも何も、僕はオスカーに何も頼んでいないだろ?余計な心配なんだよ。」

 「貴様と言う奴は、いつもそうだ!尊大で怜悧で!」


 「僕はそんなに尊大じゃないってば。」

 「いいや尊大だ。」


 「いいえ、尊大よ。」

 「なんだよ。二人して。僕ほど小心で他人と接するのが下手人間はいないだろう?」

 

 前世、ボッチの陰キャを舐めるなよ。

 今は辺境伯嫡男というロールプレイをやっているに過ぎないんだからな。


 その割には感情移入しちゃってるけどさ。

 だってみんないい人ばかりなんだもんな。

 前世を考えれば、うちの家族なんて暖か過ぎて全員抱きしめたいくらいだよ。


 だからさ。

 だから俺の家族に剣を向けるような奴は根絶やしにしたくなるんだよ。


 「なんですか?アベル様を中心に?」

 そう問いかけてきたのは正面から歩いて来たフランカである。

 

 パオロも一緒だ。

 なんだ?こいつら、付き合ってんのか?


 そのパオロがオスカーが居るからか、いささか腰を引きながら

 「騎士学団で何かするんですか?」

 

 などと聞いてきた。

 「いや、違う。アベルがどこか目指しているらしいが、こいつは芯から強情で教えてくれんのだ。」


 オスカーが尊大に応える

 「それで、お二人はアベル様の後を付いていると?」

 

 「そうよ、だって面白そうじゃない。」

 ジーナは初志貫徹である。


 レオを探しているだけなんだけどね。

 「面白そうだから、俺もついて行こう。」


 「なら私も。」

 そう言ってパオロとフランカが俺の後ろに着く。


 なにこれ?





 俺は四人にもなる人員を連れて、学校の廊下を歩くのだった。





読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


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