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312.アベル君と切れる刀剣。

312.アベル君と切れる刀剣。




 「では、双方良いのだな!」

 グスタフさんが俺たちに呼びかける。


 「どうぞ。」

 俺が軽く言うと


 「勿論です!」

 ジーナが裏返った金切り声を上げた。


 「始め!!」

 と、言うグスタフさんの号令が修練場だけではなく、校舎全体に響いた気がした。

 

 現に、校舎の窓から、身を乗り出し俺たちを見ている生徒か見て取れる。

 「無手とは舐めおって、切刻んでくれる!」


 だから、ジーナも自分からフラグを立てなきゃいいのに。

 俺は素早く走り、自ら北の団体の中に潜り込んだ。


 それに気が付いた数人が、俺に向かって剣を振り下ろす。

 北の貴族たちが悲鳴を上げた。


 その悲鳴の中、俺を切刻むはずの剣が中ほどからポトリ、ポトリ、一本、二本と灼熱の熱を持って、切れ落ちる。

 俺は次々と両腕を振るい、南の連中の剣を斬っていった。


 俺の両手は青白く激しく光る、炎と言うにはまっすぐな剣のようなものが伸びている。

 ガストーチ魔法。


 魔力操作と魔力固定で、炎を両腕小指の側面から一メートル程延ばし、それに酸素を付加したものだ。

 調度アスチレンガスバーナーを思い起こせばいい。


 あれを縦横無尽に振ることが出来る。

 魔力操作と魔力固定で、風などを気にする必要もなく振るうことが出来るのだ。

 温度?

 

 さあ?サーモグラフィーとかないからね。

 でも3千度近いんじゃないかな?


 鋼鉄が、サクサク切れていくんだから。

 俺が剣を斬った生徒から声が漏れる。


 「お爺様の形見が!!」

 そんなもんを持ってくんなよ。


 その言葉で、南の連中の腰が引けてきた。

 俺を真ん中に、誰も襲ってこない。


 「おい、お前ら。せっかく敵役が目の前にきてやってるんだ。根性見せろ。」

 俺はありきたりの挑発をするが、実際の剣が五本程度斬られ、俺の両手からは、ゴーーーー!と低い音を立てて燃えている炎の剣が珍しいのか、恐ろしいのか、向かってこれないらしい。


 「じゃ、こっちから行くぞ!」

 そう言って、目の前にいた女子生徒の剣を真っ二つにし、その横に居たデカい野郎のダンビラを反対の腕で柄の根元から切り落とした。


 あ、女の子の前髪が焦げちゃった。

 ごめんね、髪は女の命なのにね。


 ジーナに保証してもらってね。

 女の子は恐ろしくなったのかその場でしゃがむ。


 その後ろに居た奴が俺に剣を上段から振るった。

 バカなのか、俺が受けなきゃ女の子に当たるぞ!?


 俺はその場化の剣を娘青白く光る小指で受ける。

 ヌルっと、そいつの剣が溶けながら斬れて行った。


 え?小指がどうなっているかって?

 そりゃ、うまくしてるにきまってんじゃん。

 魔法だぞ?


 俺は魔法を解いて、剣が斬れて呆然としている野郎の鼻っ柱を殴ってやった。

 「馬鹿野郎!!味方まで斬ろうとすんじゃねぇ!周り見やがれ!!」


 俺がそう言って怒鳴ると、俺を囲んでいた円がさらに広がった。

 俺はその広がった円を見渡す。


 その中の一人と目が合った。

 「よう、パオロ。剣を抜いてんな。俺を殺すつもりとは、いい度胸だ。その剣は例の曾爺様の形見だっけか?大切にしてたよな。俺の命を賭けてもいいかもしれん。やるか。」

 

 そう言った途端、パオロは大事そうにその剣を地面に置いた。

 「済まなたかった!アベル!!断り切れなかったのだ。北もそうだろうが、南も貴族同士のつながりはある。むしろ顕著だ。断ったのだ。だが駄目だった。すまない。この件は許してくれ。俺の首をくれてやるから。」


 「そうか、しがらみな。わかるぞ、パオロ。まあ、いい。そこで反省しとけ。」

 俺がそう言うと、涙でぬれた顔を俺にパオロが向ける。


 「お前を殺しても目覚めが悪くなるだけだ。親友だからな。だけど、親友に剣を向けた反省はしとけ。」

 俺がそう言うと、パオロはその場で崩れ落ち、うなだれていた。


 さらに俺は俺を囲む円を見渡す。

 するとどうだろう、次々と剣を地面に置く者たちが現れた。


 しかしそこに憤怒の形相で立つ者がいた。




 「おい、お前ひとりだぞ、ジーナ。」




読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


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