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309.アベル君とディベート。

309.アベル君とディベート。




 「彼は確かに揶揄われたのかも知れない、しかしながらその実、ルーカが南側の人間だと知って悪意を持ち殴打したのだと私には思えるのです。」

 「ヴァレンタイン、サンタグレースはこのように述べているが、貴様は悪意を持っていたのか?」


 「同級生のフランカ女史の自己紹介が行われ、その後が私の番だったわけですが、その何某氏にからかわれ、妨害にあいました。私自身は自己紹介を行えず、幹部会の人員全員の名前すら分からない状態で居るのにもかかわらず、何某氏は私のことを一閃の剣の坊っちゃんなどとからかい始めました。相手側は私が誰かを知っていたのです。しかし私は、誰が北か南か西か東かなど、この学校内では関係ないことと思って入学して参りました。でなければ、その正面に座る、パオロ・カッローネなどと友誼を結ぶはずもありますまい。まあ、今は敵ですが。」


 俺の言葉を聞いて、ジーナとパオロの顔が引きつる。

 「殿下、ヴァレンタインの言に対しての補足などあればお聞きできますかな?」


 「うむ、概ねというよりアベルは正確だ。そうであろう?こやつは私に対して、あの時の事は正当防衛で間違いないかと言質を取っておる。私もそれを承認した。それを得て、アベルは訴訟を起こすと言ったのだ。それはルーカを医務室に運んだ以外の人間は全員聞いているだろう。」


 「訴訟ですか?」

 グスタフさんがいささか慌てた声色でオスカーに問う。


 「そうだ。殺人未遂でな。私は必死で止めたぞ。お互いの反発はこの学校だけでは済まなくなるでな。あの時ほど王族などに生まれたくなかったと思ったぞ、アベル。」


 知るか!


 しかし、俺はオスカーにお辞儀をする。

 「恐れ入ります。」

 


 それを見たオスカーの顔が苦々しく歪む。

 わざとらしい、とか言いたそうだ。


 まあ、わざとなんだが。

 さて、終わりかな。


 「サンタグレース、何か他にあるか?」

 ジーナは下唇を噛み黙りこくっている。


 「無いようだな。それではアベル・ヴァレンタインのルーカ・アルディーニ対する暴力事件に関しての議論は以上とする。双方良いな。」

 「私は構いません。」

 

 グスタフさんの問いに俺は素直に答えるが、まあ、ジーナの方は答えられんよね。

 「こんなの…こんなこと、こんなの茶番じゃない!アベル・ヴァレンタイン!!決闘よ!!!」

 

 ジーナが叫ぶ。

 正直こうなるって思っていました。


 ジーナは末端の男爵の出。

 ここで負けると、後がないんだ。


 俺を殺して名をあげるくらいしかね。

 それを聞いた教壇の二人は、両名とも渋い顔をしていた。


 お前ら、ほら早く俺に殺人の許可をくれよ。ヒッヒッヒ。

 なんて、シリアルキラーじゃないんだがな。


 その渋い顔のグスタフさんが口を開く。

 「承知した。ジーナ・サンタグレース、その言に嘘偽りはないな。」


 「はい!問題ありません!私が決着付けさせていただきます!」

 ジーナはもう、アドレナリンが脳をぶぶ漬けにしているんだろう、目の焦点が合っていない。


 「ヴァレンタイン、貴様はどうだ?」

 「お断りすることは?」


 「明確な理由があれば。」

 「ではそうですね、やはりルーカ・アルディーニの殺人未遂及び、ジーナ・サンタグレース及びここにいるサンタグレース支持者に、この度の私についての誹謗中傷による侮辱を提訴しようと思います。」


 「ならぬ!」

 こう叫んだのはオスカーだ。


 まあ、これも織り込み済み。

 しかし、素直に聞くわけにはいかないあなぁ。







読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


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