表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
310/365

297.アベル君とハーレム。

297.アベル君とハーレム。




 ここから始まる独白は、あくまでフィクションであり、個人の思想やジェンダーを貶めるものではありません。


 ハーレム!それは男の夢!

 幼馴染からクラスカースト一位の娘、道行く巨乳のOLさん、はたまた綺麗な近所の奥様まで。


 「ええなぁ。」

 なんて考えてばかりなんだよ、思春期から上の野郎どもなんてさ。


 みんなまとめてとかええなぁ、とかさ。

 そんで、〇ろうとか、〇クヨムとかでハーレム小説読んじゃったりするわけ。


 でもな、でもさ。

 こんなものはフィクションだからいいんだと思うのよ。


 なぜか?


 女同士の敵対心や女同士の連帯感は、男にとってどうしようもなく鬱陶しいからだ。

 陰キャのボッチがそんなこと知らないだろって?


 社会生活を送る限り、そういう暗部も目にするんだよ。

 学校生活もそうだろ?


 特に女子のカーストなんて顕著じゃないか。

 お昼たむろって飯を食うところからそれは始まるんだから。


 高校を卒業すれば、学歴マウント、男マウント、結婚マウント、妊娠マウント、子供マウントと永遠続く。

 ずっとだぞ。


 男に対してではないんだ。

 仲良く見える女同士でのマウントの取り合いだ。


 度し難いだろ?

 

 男なら彼女が欲しい、結婚もしたい、子供が欲しいと思うのは当然の成り行きだ。

 生物学的に正しいといってもいい。


 しかし、俺たち男が必死に勉強し、内定を勝ち取り、残業に耐え、いくらか豊かになったなって思ったものが、すべて彼女や妻のマウントの道具でしかない。


 己自身もマウントの道具なのだ。

 だから会社のことにも口を出す。


 もちろん給料のことにもだ。

 ああ?そんな女ばかりじゃねぇよって?


 勿論だ。

 そんな奴らばかりだったら、結婚というシステム自体が破綻している。


 しかし現実は厳しいのだ。

 こんな女性という生き物と多人数で、子作りを行いながら過ごせるか?


 皆迄は言うまい。

 しかしお前は既に妾が二人いるだろうって?


 そのとおり、俺には内縁の妻が二人いる。

 一人はハーフエルフのリラ。

 

 こちらは、公営娼館の楼閣主として娼館に住んでいる。

 歳も六百歳超ともう伝説級だ。


 それより歳上エルフって種族ではゴロゴロいるらしいんだが。

 俺やローズなんて曾孫どころじゃないわけだ。


 だから、多くの別れを経験しているのだろう。

 同僚、世話になった人、ステディーな関係な人物諸々。


 単純な別れだけじゃない、死別もかなりの数経験したのではないか?

 それを何百何千と繰り返してきたに違いない。


 そんな諦観の塊のような女性が、俺のことを良いと言ってくれた。


 そりゃご要望に答えちゃうよ、俺だってさ。

 まあ、3歳の俺を初見でいきなり、筆おろししてやるって言った時は驚いたけどさ。


 でもそれは、アベルの中の人の俺がちらついたからなんだろう。

 それについて興味があったとも言っていたなぁ。


 良く人の中まで分かるよ。

 まったく。


 ローズについてはもうね、俺が産まれたときから一緒。

 何をするにもローズが居た。


 ずっとこの世界で生きようとする俺を五歳という若さで支え続けてきてくれた。

 俺が三歳くらい、ローズが八歳の頃から彼女の恋心には気が付いていた。


 でもそれは俺にとって許されざるものだったんだ。

 なぜか?


 もう何度も語っているのだが、ローズは平民、俺は貴族だ。

 ローズを正室に迎えられないんだ。


 そんな設定は、ぶっ壊しちまえばいいって?

 ではそこの六法全書の一節でもいい、リアルに消去したまえ。


 それくらい難しいのだ。

 でもね、時間が許してくれなかった。


 俺が十五になった時、ローズはもう二十だ。

 この世界では行き遅れに足を突っ込んでいる状態だ。


 なぜこの歳で行き遅れになるか?

 この世界では、18歳が適齢期と言われている。


 魔道具が有ったり治療魔法が有ったりで便利なようでも、現実の医療が遅れているこの世界で、妊娠、出産は母子ともに死に直結する。

 治癒魔法士は数が限られているし治療費が高いのだ。


 だから体力のある若いうちに結婚するのは理にかなっている。

 前世の日本が40歳までは適齢期とか言えたのは、手厚い高い技術の医療と保険があったからだ。


 だからこそ、俺は彼女に他に縁談を頂き嫁げと言い続けた。

 母さんやマーガレットなんかは、近所の世話焼きおばさん状態だ。

 縁談なんて言ったら、いくらでも見つけてくれる。


 しかし、ローズは頑なに俺の言うことを拒んだ。


 そうなりゃさ、仕方ないじゃん。

 俺だってローズを嫌いになれるわけないじゃん。


 あいつはさ、俺を構成している水分や炭素みたいなものなんだからさ。


 てな感じ。


 でだ、今現在、俺を囲むように座っている王家の三人は、穏やかになった俺の生活に、正室という女性カーストの楔を穿とうと目を光らせている。

 おそらく、俺がオリビィと言った時点で、一種の心の障壁が破れたと思っているだろう。

 

 俺自身もそれはすごく痛い。

 どうしようもなく痛い部分を取られてしまった。

 しかしだ、兄の友達から、友達という名にランクアップしただけだ。

 ここを死守できたのは大きい。






 なんてったって、まだ友達なのだから。






読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ