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294.アベル君と王太子の縁談。

294.アベル君と王太子の縁談。




 俺の質問を聞いて王が口を開いた。

 「それは絶対にダメだな。もう五百年何もなくてもだ。辺境伯領の戦闘力を下げてはいかん。」


 「話を戻すと、しかしあの二人をどうやって遠ざけましょうかね。バチっと姉に振らしていいですか?殿下は見た目横柄なのに繊細ですから、どうなるかわかりませんが。」

 「そこなのよ。オスカーは王族としての態度は表面だけ。内面はまだ気弱な子供のままなのよ。」

 

 王妃が俺の言葉に食いつき話し始めた。

 でも、十六にもなって大きな子ども扱いもどうかと思うが。


 そこは、やはり過保護な部分があるのだろう。

 王族だもの。


 みつを。


 いやいやいやいや、そうじゃない。

 「やはり現実的な王太子妃候補身近に置いておくのが一番なのではないですか。大人の階段は一段上りました。どうすればスッキリするかはわかったはずです。言い方は悪いですが、一緒にスッキリできる対象が身近にいる安心感を与えては?先ほど言っていた王太子妃候補の方は、王太子殿下は御存じの方なのですか?」


 「第一候補は知らぬ。我々もまだあったことが無い。東に隣接する国の王女だ。国交もそれなりにあるから、無難なところだな。」

 「なるほど。ではすぐにこちらに向かせるわけにもいかないですね。」


 「そうだ。第二候補は国内の有力貴族の令嬢になるか。」

 「国内の貴族令嬢ですか。姉もその一人に入っていたのですか?」


 「シャーロットは兼ね合いが無ければ、トップだっただろう。しかし前段に言ったとおりの状況だからな。」

 まあ、そうだろうね。ロッティーは出来もよければ容姿も良い。


 胸も母さんに似てきて、そりゃもう、げふん、げふんな完璧人間だもんな。

 しかしどうしたもんかね。

 

 それが分からんから、こうして頭突き合わせて考えているわけだが。

 「では次の候補は?」


 「伯父上の血筋だな。」

 うわぁ、パーシー公爵の血筋かよ。


 まあ、親戚だからありなんだろう。

 あまり血が濃くならなければな。


 「アベル、嫌なのは分かるが、顔に出てるぞ。まあ、伯父上の娘たちは候補に挙げん。血が濃すぎるのでな。かわいそうな赤子など見たくない。あるとすれば余の従弟やはとことの令嬢というところなのだが、正直パッとした者がいない。」


 そう言って王は腕を組んだ。

 そして黙っていたウィリアム爺ちゃんが口を開いた。


 「でな、これもあまりよろしくないのだが、首都に居る有力貴族の令嬢と言う話もしているのだ。」

 「へー、具体的な名前は出ているんですか?」


 「一番可能性のあるのは、カレッド伯爵の娘、カミラ嬢だ。」

 ブッ!!


 俺は思わず吹いてしまった。

 トレーサが身体を借りている娘じゃないか!


 「なんだ?アベル、その娘を知っているのか?」

 王が怪訝そうな顔で俺に聞いてきた。


 「いえ、うちの別邸に、私の乳兄弟が住みながら、魔法大学校へ通っているのですが、その娘とカレッド伯爵の令嬢が同級生で友達になったと彼女から話を聞いたばかりだったので。」

 クソッ、これ明らかに何かのフラグだぞ。

 

 まあ、俺知らねを決め込んで、トレーサがどう切り抜けるか高みの見物でもいいんだけどさ。

 トレーサのことだから、それはさせてくれないだろうなぁ。


 トレーサの目的は、俺の側室になることだからなぁ。

 瀕死の重傷のカミラに受肉したのはその所為だ。


 はなから正室は狙ってないんだよ。

 だって面倒だろ?


 貴族の仕事をしなければならないんだからさ。

 しかし王太子妃候補なんかになったら、その目的のハードルが成層圏突破しそうなんだが。


 俺?俺は何もしないよ。

 勝手にトレーサが俺に纏わりついて、NTRで打ち首とか嫌だもん。


 トレーサがこの状況を打破したいと言うならば、自分で王太子妃候補を断るしかないだろうな。

 もちろん俺を頼らず。


 俺はどうでもいいけど、俺の側室になるつもりで王太子妃を断るのには、俺を頼ると悪手になるんだ。

 俺にとってだけど。


 あいつら始めから、くっ付いてたんじゃねーかって思われるからね。

 神気で操るとかできんのかな?


 まあ、この件は深く考えるな。






 考えた分、不幸になるような気がする。



 

 


読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


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