285.アベル君とオスカーの秘め事。
285.アベル君とオスカーの秘め事。
俺たちは馬車に乗り帰路に就く。
その馬車の中で真っ先に口を開いたのはオスカーだった。
「確かに私は性欲というものを持て余し気味であった。それで他の者にきつく当たったこともあるやもしれない。しかし今日のあれはなんだ?あれほどまでに自分の思い通りにならなかったことはない。身が軽くなったというよりヘトヘトである。」
「オスカー、お前正直だね。」
俺はそのまんまの意味でオスカーに聞いた。
「なんだ?アベル、経験者の余裕か?」
はっ!穿った見方をしやがる。
「そうではないさ。赤裸々に語るから、正直だなって思っただけだよ。」
「貴重な体験であったからな。」
「ほう、それで何回やった?」
俺の質問を聞いたオスカーはみるみる真っ赤になって俺に怒鳴った。
「貴様!そんなことを言えというのか!」
「まあ、そこまで疲れたというならば、興味は沸くよな。」
俺はそれを意に介さず、オスカーに詰め寄る。
「ど、どうしても言わねばならんのか?」
「いや言わなくても構わんよ。単純な僕の興味だから。ただ足元のふらつきから見ると、間違いなく3回以上、いや、五回以上は搾り取られたのではないか?」
「くっ!」
そう呻き、オスカーは言いよどむ。
「5回以上か。素晴らしいなオスカー。我がノヴァリス王国は安泰だ。産めよ増やせよ地に満ちよだな。」
「アベル、からかっているのか?」
「そうではないさ。王族で最も重大な仕事、それはオスカー、お前の子供を作ることだ。それがなせることを、今晩オスカーは証明見せたんだ。臣としてまさに喜ぶべきことであろう?」
「ふん!どうせ心の底では、こいつはやり過ぎだとか思っているのであろう。アベル、お前の考えそうなことだ。」
ひねてんなぁ、誰がこんなにひねさせたんだ?
「オスカーちょっとそれは僕に対し、信用がなさすぎってもんじゃないかな?」
「貴様と話をしていると、こういう気分にもなる。臣と言いながら、上から見おって。」
「いや、殿下、ある意味アベル君の言うことは正しいですよ。殿下が健康で続けることが出来るということは、ノヴァリス王国安泰の証でありますから。」
俺とオスカーの言い合いに、テオが割って入った。
俺はことさら、大仰に、
「それに、僕の言うことをちゃんと聞いて、職員の女性に対し、真摯に向き合ったからこその成果だろ?僕はそれが嬉しい。自分の権威に胡坐をかき、女性をないがしろにするものが多い中で、仕事の相手であってもちゃんと向き合った。我が殿下は人間が出来ているのだと街中に声を上げたいくらいだ。それで職員はサービスしたんだろうなぁ。」
テオはそれを聞いて薄く笑い、リックはうんうんと頷いている。
「うむ、あまり言うな。恥ずかしいのだ。二人きりで女性に対するのも、あのような行為に及ぶのもだ。」
ん?二人きりじゃないことがあったのか?
「今の言い様だと、多数の女生徒は対することがあったみたいに言うじゃないか。」
「アベル、穿った見方をするでない。着替えや風呂など雑多なことはみな、メイド達が私を囲んでやるのだ。身体を見られること自体は慣れておったのだがな。」
「そうか。なるほどな。家のメイドは着替えの手伝いはするが、風呂までついとかなかったからな。王族でいることも堅苦しいことだろうな。」
「自分達では気付かないのだけどな。貴族の家から来た母上などは気苦労が堪えまいな。強い人だが。」
「そうか、そうだな。でだ。どうだった?」
俺はニヤつく口角を押さえながら、オスカーに聞いてみた。
俺がこう言うと、他の二人もズイと出てきて聞き耳を立てる。
「どうもこうもないわ!あんなもの自然の成り行きであろう!」
「そうだよ。でも最初の感想は、最初に体験した時でなければ聞けないものだろう?」
「う、う、そ、そうだな。女性の身体というものは、華奢で、柔らかく、そして細く小さい。」
華奢と細く小さいがかぶっているが、黙っておこう。
「そ、そうだな、保護欲をそそるように思う。そのような女性が、あのようなことを…」
「まあ、ヒューマン皆スケベだからな。」
「はあ?」
俺が言ったことに対して、オスカーは首をひねり、テオは吹き出し、リックはキョトンとするのだった。
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