282.アベル君と情交の跡。
282.アベル君と情交の跡。
あ~~、やべ~、これはまるわ~。
布団の上で、二人ともスッポンポンである。
いや、カレンは襦袢を掛けているな。
この世界に来て、これで三人目を経験したわけだが、それぞれあるね。
どう違うかって?
そんなん言えないよぅ~。
はずかしいぃなぁ~。
中身アラフィフの俺が恥じらってもキモいだけだな。
リラは齢六百を超えてもなお張りと艶のある肌を持ち、ハーフと言えど、エルフとは思えないたゆんたゆんがたゆんたゆんだ(意味焼失)。
遊女としての歴史も長い分、タブーも少ないわけでね。
率直に言って敵いません。
はい。
そこに来ると、ローズは初々しくていいです。
もうここから俺色に染まれ!って感じで。
お尻からぴょこんと飛び出す、オオカミ尻尾も可愛いしね。
もうね、ローズは可愛いよね。
ホントに。
で、ここにおわすカレンさんだが、ローズに無いテクニックと、リラに無い若々しさが一体となって、ちょうどいい塩梅を醸し出している、とでもいうのでしょうか。
まさに、丁度いいのである。
どこがとか聞くな!
エロい奴らだ。
そんなん話し始めたら年齢制限どころか、ノクターン行きになっちゃうだろうが!
我慢してんだ、こっちだって。
だからそっちも我慢汁!
おっと、古のネットスラングが。
で、何時間くらい経ったものかな。
オスカーたちもうまくやっていたなら良いのだが。
そんなことを考えていたら、隣でモゾモゾと動く音がしてきた。
カレンさんが襦袢に袖を通しているところだった。
襟を正し、帯紐を締め、乱れた髪を櫛で梳かし、やっと俺に向き直る。
「申し訳ありません、遊女の方が先に参るとは恥ずかしいばかり。アベル様はやはり、リラ様の薫陶宜しいというところでしょうか。」
俺ってばそんなに上手くなったのかね?
えへ、えへ、えへ。
「さあ、良く分からないですね。自分では何とも。ただ一つ言えることは、カレンさんは素敵でした。」
「まあ、お上手ですね。リラ様もそのようにして口説かれたのですか?」
「いえ、リラとは僕が三歳の時に初めて会ってですね、成人したら、坊っちゃんの筆おろしをしてやるって言われたんです。」
「そんなことがあったんですか?」
「ええ、あったのです。」
そんな会話をしている間に、カレンさんはお茶の支度をし始める。
俺も出しっぱなしのモノを下着の中に押し込め、シャツだけを羽織って布団の上で胡坐をかいた。
「こちらへ。」
カレンさんがお盆の上にお茶を継いで畳の方に俺を促す。
布団の上で飲み食いしちゃダメだよ?
行儀という以前に、食べカスに虫が寄り易いからね。
ダニにかまれたくないし、布団にGが来たら嫌だろう?
後、畳の上に直接茶わんやペットボトルなどを置くのも駄目。
雫などで、痕が付きやすいからね。
痕が付いたら落ちないんだ。
だからやらないようにしよう!
僕との約束だ。
いけない、水道橋付近で、握手会を開きそうになってしまった。
「どうぞ。」
お盆の上の湯飲みをカレンさんは差し出す。
俺はそれを受け取り
「いただきます。」
と言って、口に含んだ。
緑茶だこれ!
こっちに来て初めて飲んだ。
いや、今までのお茶だって紅茶と言われれば紅茶だった。
でもさ、発酵されたものと、限りなくフレッシュに乾燥されたものじゃ違うじゃない。
「このお茶は初めて飲んだんだけど。どこで採れるのかな?」
「私も詳しくはないですが、西部のエルフの森で採れ、作られているようなことを聞き及んだことがあります。」
「西部の森って、あの大長老様のいらっしゃる?」
「そうですね、そうだと思います。」
へー、そんなところで緑茶がねぇ。
「どこで売っているの?」
「森の民と、ここでしか飲まないので、市場には出回らず、直で販売してもらっているそうですよ。」
そうか、それじゃ分けてもらうのは厳しか。
まあ、そんなに飲む方でもないからね。
と、酸っぱいブドウを決め込んだ俺は、カレンさんと会話でも楽しもう。
「そういえば、僕と別れて、あれからどうなったんですか?」
「それって十年前の?」
「そうです。」
「あの日は一応、置屋に行ったんだけど、騎士ともう一人いらっしゃって、仕事にならなかった。」
カレンさんは茶碗を両手で持ちながら、情景を思い出すようにつぶやき始めた。
騎士は分かる。
事情聴取はしなければならないからな。
だけど、もう一人って誰だ?
読んでいただき、有難うございます。
本作は長編となっています。
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