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237.アベル君と荷造り。

237.アベル君と荷造り。




 俺は、身の回りの物の荷造りに精を出している。

 俺だけではなく、ローズとミーも手伝ってくれていた。


 「結構な荷物になるなぁ。」

 「そうですね、衣服だけでなく防具の予備や勉強道具など、学校で使う道具などがありますからね。」


 そう答えたのはローズだ。

 「そうだな、また成長すれば、これらが無駄になるわけだが、致し方無いか。小さくなったものはアルにでもあげよう。」


 「そうですね。それが良いと思います。」

 ローズは手を休めることなく荷物をケースに押し込んでいく。


 さて、何をしているか?

 騎士学校への入学の準備及び、セイナリアへの引っ越しの準備である。


 「ところで、ミーの方の支度は済んでいるの?」

 俺は、一緒に片づけをしてくれているミーに話しかけた。


 「やってみゃすよ。うちの旦那がアベル様について行くのは分かっていましたから、自分のこまごましたものは片づけていみゃした。」

 旦那とはフレイのことだ。


 フレイと住むようになってから、格段にミーの言葉が聞き取りやすくなった。

 言葉を覚えるにはその土地の恋人を作ればいいってのは、本当だな。


 フレイは俺の従士であるため、一緒に行くのは決定事項である。

 その妻のミーがついて行くのも、まあいいんじゃね?ってことでミーも行く。


 子供でも居れば、単身赴任もやむ無しってところだったんだけどね。

 つまりフレイ夫婦は、セイナリア滞在の3年間、避妊命令も出ている。


 乳幼児を連れて2週間近くの馬車での旅路を行くのは常識的ではないからね。

 と、いっても、この世界には避妊ポーションというものがあるのだ。

 

 主に娼館で使われているのだが、手ごろな値段で普通に流通もしている。

 一本で一週間だったかな?結構効能は持続するらしい。


 どういう成分とか機能とかはサッパリ分からないので説明は出来ないが。

 「今からでも子供作っちゃえば?」


 俺がそう言うと

 「やっだぁ、もう恥ずかしい。」


 そう言ってミーは、俺の荷物であるシャツで顔を隠す。

 今更恥ずかしいもあるものか、俺が10歳の時に俺のお手付きになるとか言っていたくせに。


 ああ、言い忘れた。

 獣人には、ヒートらしき時期があるんだ。


 現在では、普通のヒューマンと同じで、いつ交わっても子供が出来る身体なのだそうだが、ヒートの時期になると、子作りに対する意欲が増すんだそうだ。

 もちろん、その時期は子供も出来やすいんだそうで。


 そんな話をしていると、ローズが微妙に睨んでくる。

 ああ、また面倒くさいモードに入っているな。

 

 だから他に男を探せと言っているのに。

 でだ、ローズを連れていくかどうかは実はまだ保留中なのだ。


 なんでかって?

 簡単だ、手を出したくなるに決まっているからだ。


 俺が新生児の頃、5歳のローズを見て育ってきた。

 それが今やローズは19歳。


 俺は立派に成長した14歳、生物学的には精通もあり、子作りも出来る人間だ。

 そして、今のローズには女性的魅力が十分あるんだよ。


 もうね、時に俺も抑えられないことがあるが、そこはそれ己で処理するしかあるまい。

 そしてまたもう一人、アンネも14歳。


 エルフのクウォーターとして、マリアさんのように美しく育った。

 胸もマリアさんに似て、アレだ。


 まだ14歳、頑張れ。

 しかし、こいつの意識も俺に向いているのがバレバレだ。


 そのアンネも今回セイナリアに行く。

 魔法大学校に行くためだ。


 俺は反対したんだけどね。

 本人がどうしてもと聞かなかったんだ。


 首都で聖女なんて知れたら、各神殿がどうするかわかんないし、それも敵国の唯一神トレーサの依り代であるなんて知れたら、政治的にどうなるかもわからない。

 大学ではロッティーが守ってくれるに違いないが、それでも四六時中一緒というわけにもいくまい。


 住むのはヴァレンタイン家のセイナリア別邸、アーサー達がいる家だ。

 ここにはロッティー、リサが住んでおり、フレイ夫婦とアンネが住む予定だ。


 だから居住地に関しての安全性は、まあ安心なんだよね。

 ああ、俺は騎士学校の寮住まいだ。


 貴族の子弟はメイド等、身の回りの世話をさせる従者をつけることが出来るんだが、ローズはもちろんこれを希望している。

 俺は上記の関係で希望はしていない。


 両親は、俺の好きにしろと言っているが、母さんはローズの気持ちも汲んであげなさいとも言っていたな。

 父さんが妾を作ったら、同じことが言えんのかと。

 

 みんなぶん投げて、好きなだけダンジョンに潜って好きかって生きられたらって思うようになってきた。

 それを父さんはやったんだけどさ。


 流石に親子が二代ですることじゃない。

 辺境伯に傷がつくかもしれない。


 いちいち家を出て下々と混じらんと、辺境伯にはなれんのか、とかって言われるよね、きっとさ。

 だから出来もしないことを妄想しないで、せっせと荷づくりに励んでいるんだ。


  「こちらは終わりました。」

 パチン!とケースの蓋の留め具を鳴らして、こちらを見るローズ。





 その目を見るたび、俺の心のしこりは大きくなるんだ。

 俺の誕生日、一日前の出来事だった。


 


 





 



読んでいただき、有難うございます。

本作は長編となっています。

続きを間違いなく読みたい場合はブックマークを。

作者がんばれ!

面白いよ!

と、思っていただけたなら、それに見合うだけの☆を付けて頂けると幸いです。


それでは、また続きでお会いしましょう。


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