ローズの回想1
私はローズ。お花が大好きなお婆ちゃんが名付けてくれました。
もうお婆ちゃんはお星さまになってしまわれたけれど、私はこの名前が大好き。
優しかったお婆ちゃんのことは今でも大好きです。
私の家族は大家族。兄弟がたくさんいます。
獣人のお父さんとお母さんは物書きや計算は得意じゃないけど、毎日一生懸命外の仕事で働いて、お金を稼いできます。
でも、やっぱりちょっぴり家計が苦しいようです。
私たちにはちゃんとご飯を食べさせてくれますが、お腹いっぱい食べれるわけではありません。
お洋服や下着も新しいものを買えるわけではありません。
古着を買ったり、近所の人からお古を貰ったりしています。それをお母さんが兄弟たちに合うように繕ってくれるんです。
でも、そんな生活でも大家族の楽しさがあって、私はこの家族が大好きです。
ある日なぜかご領主様付きのお役人であるネス様が、お家を訪ねてきました。
どこから聞いてきたのか、家計が苦しいなら、歳の上の子を辺境伯城の住み込みメイドとして働かせる気はないかい?とのことでした。
お父さんとお母さんはちょっぴり悩んでいるようでしたから、私が進んで
「私が行きま す!」
と、大きな声で返事をしました。
「良いのかい、ローズ、本当に大丈夫かい?何もお前が気を使うこともないんだ。無理しなくてもいいんだよ。」
と、お父さんとお母さんは心配して私を抱きしめます。
ネス様は
「週一回お休みも頂けるようだし、他の街に行くわけじゃない、このヴァレンティアの街の辺境伯閣下のお城に住むのだ、何も心配することはあるまい。ローランド閣下もアリアンナ奥様も、とてもお優しい方々だ、悪いようにはしないさ。」
と、おっしゃってくれました。
「ネス様はこう言っておられるが、ローズ、本当に大丈夫か?」
と、お父さんが聞くので
「うん、きっと大丈夫だよ。」
私は強くうなずきます。
すると
「無理しないでね、ローズ。」
お母さんは涙ぐみながら私を強く抱きしめてくれました。
こうして私、ローズは、辺境伯様のお城へ奉公に上がることになりました。
ここまで読んでいただき、有難うございます。
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