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222.アベル君と後始末。

222.アベル君と後始末。




俺たちは帰り道も数匹のネズミを倒しながら出口に向かった。

出口には、入る時に対処してくれた騎士たちがまだ冒険者のチェックをしていた。


「早かったですね。アベル様なら最奥の玄室までいらっしゃると思っていたのですが。」

そう、騎士は笑いながら言ってきた。


「うん、実はね。あ、俺だけで話すから先に言っていて。」

そう言って、パーティーのメンバーを先に行かせた。


そうだ、帰りの馬車がないんだったな。

「騎士団の馬車を借りれないかな?僕も最奥で一泊のつもりだったから、明日帰りの馬車が来るんだ。城に着いたら疲れていない馬に取り替えて引き返してもらうからさ。」


俺がこう懇願すると、騎士は

「構いませんよ。自分たちはここの詰め所で泊まりですし、いざとなれば自分たちの馬がいますので。どうぞ乗っていってください。」


そう、快く馬車を貸してくれた。

「ありがとう。」


俺は騎士に対し素直に謝意を述べた。

「で、中でなにか有ったんですね。」


 途端に騎士は神妙な顔で聞いてきた。

 なかなか出来るやつなんじゃないかな、この騎士は。


 「流石だね。実はね。」

 俺は強盗の連中から剥ぎ取ったタグを見せ、


 「アンネローゼが人質に取られてね。装備と女性陣を要求されたんだ。」

 「それで、タグを持っているってことは、返り討ちにしたんですね?」


「察しが良くて助かるよ。」

「それで、どんなや…」


そこまで言って、タグを見た騎士は納得いった顔をする。

「彼奴等ですか。」


「そう、朝、絡んできた連中が2回絡んできてね、2回目にアンネを人質にとったんだ。」

「それで彼奴らは?」


「裸に剥いて置いてきた。」

「ブフォッ!」


騎士が吹き出した。

しかし笑ってはいない。


彼は渋い顔をしながら

「流石にそれは、せめて止めを刺すならばわかりますが。」


「彼奴等、人間じゃなかったんだよ。アンネまで性の捌け口にしようとしてさ。

 俺は強盗に遭った状況を端的に説明した。

「それは…そうですね。あの子は我が騎士団員の怪我を治癒魔法で治してくれていますからね。我々にとっては稀有な存在です。それをそのような下種の慰み者にしようとは。分かりました。ご領主様には、ご自分でご報告を?」

 アンネは治療魔法の練習をリーサ監視のもと、よく演習で怪我をする騎士団員相手に行っていた。


 だから、かなり可愛がられている。

 見目麗しいし物おじしないから、男性騎士だけではなく女性騎士にも人気だ。


 

「そうだね、夕食の話題にはしたくはないけれどね。」

 でも、いつ話すって飯時が一番手っ取り早いんだよな。


「それでは、アベル様からその様に取り計らって下さい。ギルドの方には?」

「明日ギルド長に直接話しに行くさ。」


 「そうですね、そのほうがよろしいでしょう。」

 ギルおじさんの渋い顔が目に浮かぶが、ギルドのゴミを掃除したと俺は思っとこう。


 「ああ、でも通りがかりの冒険者が助けるかもしれないな。そん時はどうする?」

 俺は騎士に処理を聞いた。


 「アベル様の証言を得ていますからね。これ以上の証拠はいりません。拘束してご領主様にゆだねましょう。」


 「そんなもんかな?」

 「そんなもんですよ。アベル様はご領主のご嫡男であらせられます。その存在理由だけで、このヴァレンタイン領ではすべてを凌駕できるのですから。」


 騎士はこともなげに言い放つ。

 そんな大層なものでもないのに。


 「あまり甘えさせると、碌な事にならないよ。」

 「もしアベル様がそのような人間なら、官僚制を作った時点で、私利私欲で動いたでしょうね。」


 「買いかぶり過ぎだ。これ以上聴いていると、吹っ飛ばされそうだから行くよ。馬車ありがとう。」

 「はい、お気を付けてお帰り下さい。」


 俺は歩きながら後ろ手に手を振って、その場を離れた。

 皆が停車場の広場で待っていた。


 「騎士団から馬車を借りることが出来たから、それで帰ろう。」

 「その話もつけて下さっていたのですね。私もそうしようと思っていたのですが、待っていろと言われたので」


 なぜかフレイが縮こまって言い訳を述べている。

 「気にすることはないさ、騎士団の詰め所に行って馬車を借りよう。フレイ、御者を頼めるかい?」


 「はい、かしこまりました。」

 こうして俺たちは無事に城に戻って行った。


 そして、ここは城の食堂。

 食卓にはうちの家族が揃っていた。

 控えているメイドは、マーガレット、エレナとミー。

 ああ、ミーは今まで言わなかったけど、三毛だからね。


 そこ!やっと設定が固まったかとか言わないっ!!

 まあ、いい。





 食事をとりながら、俺は重い口を開かねばならなかった。



ここまで読んでいただき、有難うございます。

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