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214.アベル君と一級建築士。

214.アベル君と一級建築士。




 「よう!アベル様の腰巾着!」

 ロイと呼ばれた中肉中背の騎士は、神経質そうな顔にニヤケた笑みを張り付け、フレイに言い放った。


 俺、あいつ知っている。

 一級フラグ建築士だ。


 でもうちの騎士団の一員だ。

 しかもチャールズ達が選んだ人間、下手打つことはないのだろう。


 でも、口ぶりからして、フレイと何か因縁でもあるのかね?

 俺は、近くに居たユーリに話しかけた。


 「あのロイって騎士を僕は初めて見たんだけど、フレイと何かあったの?」

 「ああ、あいつら同期なんですよ。フレイは目立たない男で、ロイはあの通りなもので、まあ、いじめというかそんなのがあったようです。」


 ユーリが口ごもる。

 「なるほどね。厳しいうちの騎士団の中でも、そんな奴がいるのか。尻尾を出さなかったんだね?」


 「アベル様は察しが良いですね。そのとおりです。調べてもロイがフレイをいたぶっている証拠がない。フレイも何も言わないで、行き詰っていたんですよ。」

 「そんなときに、僕の従士になる話が来たと。チャールズもユーリも人が悪いね。それで今回二人をぶつけたの?」


 「まあ、団長も思うところがあったようです。」

 その言葉が耳に届いたのか、チャールズは肩をすくめた。


 「双方前へ!」

 チャールズの声が大きく修練場に響く。


 フレイは楯とロングソードの木剣。

 ロイはショートソードを両手に持つ双剣のスタイルだった。

 「二刀流は珍しいな。」

 俺が呟くと、ユーリが聞こえていたのか


 「手数の多さがロイの強みですね。」

 と、教えてくれた。


 「フレイ、その大きな楯で隠れんのか?お似合いだな。」

 ロイはそう言ってフレイを挑発する。


 今のフレイにはその手の挑発は聞かない。

 俺のからかいに耐え忍んできたからな。


 いや違う、爺ちゃんに精神的にも鍛えられているからだ。

 タンクは耐えてナンボだ、その精神力が一番の武器だってね。


 「始め!!」

 チャールズの号令とともに、ロイが距離を詰める。


 右腕上段から跳ね上がって体重を乗せた一撃をロイはフレイに浴びせた。

 グワン!!

 

 フレイの持つ楯が、派手な音を立てる。

 続いてロイの左手、また右手と間断なく攻撃が続いている。


 「なるほど、手数だね。」

 「でも、フレイは楯での防御がうまくなりましたね。焦らないし、防御によどみがない。普通の剣士だったのに。」


 ユーリも試合を見ながらつぶやいていた。

 ロイによる連撃が続いていたが、防御に徹し、機を見てロングソードで突きを見せるフレイに手を焼いたのか、ロイは一旦下がって息を整えた。


 そこへ挑発するように、フレイが前へにじり寄って行く。

 「くそが!!」


 それを見たロイが悪態をついて、最初の一撃のように飛び込んだ。

 「あっ!終わった。」

 俺がそう言うと、ユーリが一瞬俺を見たが「ぐわぁうん!!」と大きな音がして、ロイが空中へ放り投げられていた。


 「アベル様に気を取られて見てなかった!フレイは何をしたんです!?」

 ユーリが悔しそうな声を上げながら俺に詰め寄る。


 「シールドバッシュだよ。カウンターで入ったから、ロイはもう動けないだろうな。」

 案の定、修練場に倒れこんでいるロイは、気絶しているらしく数人の騎士によって医務室に運ばれていった。

 

 アンネ、治さなくていいからね、あんな奴。

 「フレイは御隠居様にどのような指導を受けているんです!?」


 ユーリがキラキラして目で俺に詰め寄る。

 この脳筋が、普通の修練に決まってんだろう。


 爺ちゃんだからって特別なことはないんだ。

 ただ指導の仕方がいいだけで。


 まあ、大半の教育というものは、そこで決まってしまうんだろうけどね。

 こっちに帰ってくるまでムッツリとしていたフレイが、俺たちを目の前にした途端、ニッコリと笑った。


 「勝てました。」

 その言葉だけで十分だった。


 爺ちゃんは、静かに頷き、俺は一言

 「良くやった。」


 それだけ言った。

 「それではローズちゃん。」


 チャールズ、ちゃん付けかよ。

 まあ、ガキの頃から知っているから仕方ないか。


 「はい。」

 呼ばれたローズは真剣そのもの。

 

 そしてその相手は

 「ミラ、前へ。」


 呼ばれた騎士は、ドワーフの女性だった。

 得物は楯と単槍。


 理にかなった装備だ。

 「可愛い嬢ちゃんだね。よろしく頼むよ。」


 ミラと呼ばれた女性はそう言ってローズに会釈した。

 さっきの、誰だっけ?と違って相手へのリスペクトがちゃんとできているね。


 「よろしくお願いします。」




ローズがそう言って相手へ丁寧なお辞儀をした。




ここまで読んでいただき、有難うございます。

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