191.アベル君とえ??
191.アベル君とえ??
「あら、いいじゃない!緑鉱石よこれ。」
フレイヤさんが声を上げが、いつもよりトーン高い。
本で読んだことはある。
もしかすると、母さんが持っていたのかもしれない。
宝石の類だ。
「この大きさなら金貨3枚は下らないわ。」
「金貨3枚!!!」
フレイヤさんの言葉に、俺以外の皆が反応する。
金貨1枚日本円で100万円くらいだ。
以前、市況調査をしたので間違いは無いと思う。
3歳の頃とたぶんそんなに価格変動していないと思うんだ。
だから金貨3枚は300万円。
みんなが色めき立つのもわからんでもない。
でも、俺は既に稼いでいるのでね。
トランプの販売委託を商業ギルド中央首長のワグナーさんと契約したのだ。
賭博の道具としてのカードはあった。
この国にはというか、この世界には老若男女で遊べる娯楽が少ないんだ。
飲み打つ買う、大人の男はそれが主だ。
女性はというと、家事全般に追われ、それどころではない。
そこへ俺がトランプという娯楽を投入した。
まあ、儲かる、儲かる。
商業ギルドの手数料を引いても月金貨5枚は下らない。
でもこういう事をするから、パーシーの爺さんに嫌われるのかもしれない。
まあ、くだらない事を考えている暇はないな。
「さて、どうする、これ?」
俺がこう言うとみんな腕組をして考え込んだ。
「アベル様、預かっておいてくださいよ。」
ローズが俺にそう言った。
「でもお前とフレイの獲物だったんだから、お前らが貰うべきだと思うんだ。どうよ?」
「俺はアベル様に従います。」
「私も」
そう言ったのは、フレイとアンネ。
「私いらない。」
と、興味なさげなのリーサだ。
「わかった、一旦俺が預かって、金に換えるなり何かにするよ、いいね。」
「はい。」
3人が返事をする。
加工してもらって、何か全員分のアクセサリーにでもしようか。
この大きさなら、4等分でも指輪やネックレスは余裕で出来るだろう。
俺は預かった力鉱石を背嚢に入れた。
で、フレイさんに聞きたいことがある。
「フレイさん、ここの魔物強くない?初心者なら、相当苦戦すると思うけど。」
「そうよね、中級のダンジョンだもの。」
「「「「えーーー!!!」」」」
「だってさ、凄い魔法をアベルちゃんが連発して、正騎士のフレイが魔物押さえてトドメなんて、初級ダンジョンでは物足りないでしょ?」
「じゃあ、表の連中は?どう見てもE以上の連中には見えなかった。」
「ああ、はねっかえりは居るのよ。早く儲けたいばかり考えている連中ね。」
「そういう事か。」
「それにご領主様にも了解は得ているはよ。」
「父さんが?あれだけ僕らを心配だって言っておいて?」
「私とアベルちゃん、フレイがいれば大丈夫って判断らしいわ。ローズちゃんもかなりやることが分かったし。このパーティー、なかなか良い感じよね。」
「でもいつ間に。」
俺は疑問を呈する。
「あなた達が来てから、奥様から連絡が来たのよ。お城に来てくれって。で、打ち合わせしたの。一閃の剣、お転婆魔法使い、剣では無敵とご一緒出来るって夢のようだったわ。アベルちゃんの環境はホント、異常ね。」
「異常は余計だよ。まあ、だいたい僕らの腕を察して、父さんたちが初心者じゃつまらないって思ったのは分かった。相変わらず俺を見世者にして楽しんでいるんだな、あの3人は。多分、ヒーラーが二人も居るって事も効いているんだろうなぁ。」
「そうね。ヒーラーが二人いるパーティーなんて贅沢の極みだもの。でも分かったわね、今回2回の戦闘でもあんたたちは怪我人を出すことなく戦えた。中級ダンジョンに見合うだけの腕を持っているって事よ。つまりここでの戦闘を繰り返すの。」
「だから魔物が結構強く、あんな高価なドロップが出たんだな。」
「あんなん、ここでも珍しいけどね。あんたたち、運が良いわ。」
「いきなり中級ダンジョンに連れて来られて運がいいもないさ。、みんな、どうする?このまま先に行くか、引き返すか。初級じゃない以上、引き返しても俺は文句は言わないよ。」
フレイヤさんとの会話が終わったので、これからのことを皆に聞いてみる。
初級じゃない以上、彼らを危険にさらすわきにはいかない。
「私はまだ何もできてないから進みたいです。」
こういったのはアンネ。
見た目引っ込み思案そうで、わりと積極的だ。
「私も行きます。ここで引き下がったら、ヨハン様に怒られそうだし。」
これはローズ。
まあ、彼女は鼻っ柱が強いから、進むと言うと思っていた。
「俺はアベル様に付いて行くだけですから。」
従士のフレイさんは泣かせることを言うね。
さて、もう一人。
「決まってるわ。私はアベルと一緒。」
そう言ってリーサは俺の肩から乗り出し、俺の頬に頬ずりをする。
「リーサちゃん!!」
途端にローズが怒り出す。
アンネは神に怒っても仕方ないと思っているのだろう、達観した表情を浮かべていた。
「当いうわけで、フレイさん、僕たちは先に進むよ。バックアップだけよろしくね。」
「分かっているわ。あんたたち誰一人として死なさないわよ。」
心強いね。
そう思いながら、俺たちは歩き始めた。
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