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189.アベル君と掃除屋

189.アベル君と掃除屋




 俺は確かな達成感があったのだが、周りの皆は「うわぁ」って顔をして眺めていた。


 俺はとりあえず、水を生成して自分の腕と魔石を洗った。

 ちっこい、でも最初の大きな一歩だ。大事にしよう。


 「お前ら、あと二体あるからな。誰がやる?」


 そう言うと、一瞬みんな顔を引きつらせたが、一人挙手をした者がいた。

 「私やります。」


 そう言って手を挙げたのは誰あろう、アンネローゼだった。

 「私はまだ何も役に立っていないもの。何かしなければならない。」


 そう言って強い意志を目にたたえる。

 まあ、Gに手を突っ込むだけなんだが。


 「わかった、次はアンネな。その次どうすんだ?」

 「わかりました。俺がやります。」


 そう言ったのはフレイだ。

 「よし決まったな。じゃ次の死骸に向かおう。」


 そう歩き始めたが、ちょっとした疑問が頭によぎった。

 「そうだ、死骸ってどうするの?焼いちゃう?」


 俺は疑問に思ったことをフレイヤさんに聞いてみる。


 わかんない事は聞く。

 入社一年目の心得だ。


 「焼いたらまた臭くなっちゃうわよ。放っておけば他の魔物がかたづけてくれるわ。」

 アア、ソウダネ。


 「ダンジョンの掃除屋がいるってこと?」

 「いい事言うわね、そう、そのとおりよ。」


 「そいつら襲ってこないの?」

 「襲ってくるわよ。活きの良いものが美味しいのかしらね。」


 俺らは刺身か何かなのか?


 「じゃあ、さっさとかたづけて移動した方が良いね。」

 「アベルちゃん、正解よ。さ、行きましょう。」


 そう言って2体目の解体に向かった。

 行った先のG達2体は、俺の放ったファイアーボールが連続して当たったのか、炭化してた。


 だから、ひっくり返して炭になった身体をナイフでほじくるだけで魔石が出てきた。

 クソ、キモイ思いをしたのは俺だけかよ。


 というわけで、立候補した二人はほっとした顔をしている。

 現実はそんなに甘くないと思わせなければならないな。


 「アベルちゃん、言っている傍から掃除屋が来たわよ。」

 フレイヤさんが俺に声を掛けた。


 相手はクリケという、コオロギに似た昆虫だ。

 確かコオロギってGの仲間なんだよな。


 「対象は2体、右ローズ対応、左は俺、ブレインブースト使って対応するから、フレイ、ヘイト管理とローズのカバーよろしく。」

 「アベル!私たちは!」


 リーサが俺に声を掛ける。

 「後方で状況確認!また敵が出るかもしれない。見張っていてくれ。」


 「わかった!」


 言っている間にクリケが迫る。

 ローズ何処からか暗器を取り出しクリケに投げた。


 しかしそれは相手の固い甲殻に阻まれた。

 その間に、ローズは持ち前のスピードで走り、片手に両刃の苦無の様なナイフをもって相手に迫る。

 

 アイエエエ!いや、嘘です。

 などとやっている場合じゃない。


 「ローズ!出過ぎるな!!」

 俺はローズに叫ぶ!


 「はい!一撃当てたら下がります!!」

 「フレイ!前へ!ローズが下がったら防御!」


 「はい!」

 フレイ盾を構えながら、ローズの戻れるところを確保する。


 よし、次は俺か。

 俺は迫ってきたもう一体と対峙した。


 ブレインブースト、とは言わないんだけどね。

 目の前が薄く黄色く染まり、クリケの移送速度が遅くなる。


 飛び込んで来ようとするのが分かるので、あらかじめ飛び込む足の位置に剣が当たるように振る。

 これが実は難しい。


 相手のスピードも落ちるが、こちらのスピードも落ちる。

 力加減もわからなくなり、リカバーもし難くなる。


 でも散々爺ちゃんと練習した。

 爺ちゃんの斬撃を読んで受ける、避ける、合わせてこちらも攻撃する。


 もうやりにやったけどね、爺ちゃんに勝てないんだ。

 もうね、父さんと爺ちゃんは化け物だよ。


 よし、クリケは予定でどおりの軌道で、俺の前に飛んで来た。

 その予定個所、俺は翻りながら、俺から見て右側の足の付け根に剣を当てる。



 その時点でブースト解除。

 翻った俺の身体をすり抜けながら、足を一本無くしたクリケが


 「ぎぎいいいぃい!」と哭いた。

 コオロギなら、もっと可愛く鳴けよ。


 そしてまた対峙。

 相手はまだ足が5本ある。

 

 その後方、アンネとリーサにクリケが気付く前にこちらに注意を向けなければ。

 俺は地を蹴り、クリケにダッシュで迫った。


 クリケは「ガチガチ」と口を鳴らしながら、俺に向かって地を蹴った。

 俺は奴に当たる前にブレインブーストを掛ける。


 剣を突きの構えのまま、クリケの脇をすり抜け、スローのクリケの身体を俺のスピード、力を加味しながらよく狙う。

 「よし!ドンピシャ!!」





俺が精一杯の力で突いた剣はクリケの甲殻の隙間に入り、首の関節を断ち切った。



ここまで読んでいただき、有難うございます。

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