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186.アベル君と初めての剣。

186.アベル君と初めての剣。




 「アベル、こちらにお出でなさい。」

 母さんが俺を読んだ。

 

 さて、なんだろうね。

 とういうわけで、トコトコと母さんとボータックさんのところに行ってみた。


 「なに?母さん。」

 「あなたに剣をあつらえてあったのよ。」


 あら、嬉しい。

 

 「見立てて下さったのは、お爺様よ。でもローランドと私、3人からのプレゼントね。」

 「僕が冒険者になることを見越していたんだね。」


 「まあ、冒険者じゃなくても、お爺様から剣を習っているんだもの、いずれは必要になるんだからってことでね。」

 そう言って母さんは剣を俺に渡す。


 「うん、すごく嬉しいよ、母さん。」

 俺は貰った剣を大事に抱えた。


 「大事に扱うのよ、振り回すだけじゃなく、手入れもお爺様から習ってね。」

 そのとおり、いざという時に使い物にならないのでは、話にならない。


 「そうだね、命を預けるものだもの、手入れは重要だ。」

 本来従士にやって貰うとかって、貴族ならなるのかもしれないが、そこは一流剣士と一流冒険者のヴァレンタイン家、己を守るものは、己で面倒見よということなのだ。


 「それだけ良く分かっていればいいわ。」

 母さんは満足気にうなずく。


 「本当に、聡明なお子様ですね、アベル坊ちゃんは。」

 ボータックさんが関心気に言った。


 「生意気なのだけどね。」

 そう言って母さんは俺の頭を撫でる。


 撫でられながら俺は肩をすくめた。


 そんな俺は剣を抱えて違和感を覚えた。


 鞘に入っているのに、凄く軽い。

 何だこれ?


 「これ、とても軽いんだけど、抜いてみていい?」

 俺は母さんに許可を求めた。


 「ええ、いいわよ。」

 あっさりと許可を出す母さん。


 注意事項もなしだ。

 信用されているな、俺。


 シュリン!

 鞘と剣の擦れる音を残し、刀身が姿を現した。

 

 ステンレスの様に顔が映るほどではない。

しかし、眩く光り、軽く、刃も鋭い。


 刀身は俺の背に合わせたんだろう、普通のロングソードよりは短い。

 しかし、10歳の俺が15歳になる頃まで使えるに違いない。


 絶妙な長さだった。


 「綺麗だ。」


 俺は刀身を眺めながら呟く


 「ミスリルよ。」

 母さんが事も無げに俺に言った。


 「ヴァルシオン産のミスリル鉱石を精錬して出来たものです。今の坊ちゃんには少し長いかもしれませんが直ぐに合うと思いますよ。」

 そうボータックさんが解説してくれる。


 へー、ミスリルかよ。


 この世界にはファタジー系の鉱石があるのは知っていた。

 けれどまともに見たのは初めてだ。


 良し、お前をつらぬき〇と名付けよう。

 是非ゴラ〇を探して虐めたいものだ。


 まあ、冗談はさておき

 「父さんたちもミスリルの剣なの?」


 「ローランドとお爺様はヒヒイロカネよ。」


 おい!今度は日本の伝承の金属かよ!

 しかもこれ、偽書からの出典じゃ?


 この世界と前世の世界は何かしらで繋がっているのだろう。

 じゃなきゃ、俺の魂がこっちに来るわけがない。


 こちらの金属が伝説としてあちらに語り継がれる。


 面白い。


 興味はあるけど、調べるのは大変そうだ。


 てことはさ。


 「オリハルコンてあるの?」

 「あら、伊達にロッティーと本ばかり読んでいないのね。有るわよ、中々出てこないけれどね。」

 と、母さんは俺の頭をまだ撫でながら言った。


 「そうですね、オリハルコンとアダマンタイトは希少金属ですから、なかなか表には出てきません。ヒヒイロカネ自体もそれに準ずるほどの金属ですから、それを二振りもお持ちのヴァレンタイン家はノヴァリス国きっての剣の名家と言っていいでしょうな。もちろん、ご領主様と、ご隠居様の腕があってのことですけど。」


 アダマンタイトも出てきたよ。

 まあ、当然と言えば当然か。


 「ヒヒイロカネの剣が二振り有る家って言うのはほぼ無いってこと?」

 俺は素直に聞いてみた。


 「そうですね、王家を除けばアベル坊ちゃんの家と数件だけでしょう。しかも腕も伴ってとなれば、もう。」

 話している終わりには、目を閉じ、首をゆっくり振りながら、何か物思いにふけるようにボータックさんは言葉にしていた。


 「僕もヒヒイロカネの剣が持てるくらいの腕にならなきゃね。目指せ!三振り目!」

 と、俺が言うと


 「あなたは魔法で楽をしようとするから、どうかしら?」

 などと、母さんが俺をからかってから、店内を思い思いに眺めていたパーティーメンバーに




 「みんな、集まりなさい。防具を仕立てるから採寸するわよ。」

 と、と声を掛け、集めたのだった。


ここまで読んでいただき、有難うございます。

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