表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/361

183.アベル君とギルド長と母さん。

183.アベル君とギルド長と母さん。




 ソフィアさんに促され、ギルド内部に入ると、またやはり衆目にさらされる。

 領主の嫡男と産まれたのなら、もうこういうのも慣れなければならないんだろう。


 つってもさ、前世の性格が、陰キャの魂が俺を突き動かす。

 思わず母さんの後ろに隠れてしまった。


 「あら、アベルらしくもない。しっかりしなさい。」

 母さんにたしなめられる。


 「なんだか恥ずかしくなってね。」

 正直に話した。


 「アベル様でも苦手なことがあるのですね。」

 そう言って、アンネが笑った。


 それと同時にフレイ迄吹き出しやがった。

 そんな話をしていても、周りの噂話は止まらない。


 多くは母さんの容姿、主に胸だな。

 それにローズの可愛さについてだ。


 アンネについてはまだ子供という評価なのだ、特殊な性癖の人間以外見ることはないのだろう。

 フレイについても、なぜか獣人の女の子パーティーから黄色い声援を受けていた。


 獣人の女性は、強い雄を好むとか言われるけれど、本当なのかもしれない。


 チッ、生意気な。


 俺はというと、ローブを着たお姉さま方が俺を見ながらヒソヒソ話をしているのが分かる。

 多分魔法使いと、治癒師の女性たちだ。

 

 俺が魔法を使う事は市民にバレているからな。

 それでだろう。


 しかし、しきりにローズとリーサが周りを威嚇するような目つきで見ている。

 特にさっきのローブの女性陣に対してだ。


 あれ?もしかして俺についても外的要因なの?

 アベルの顔が綺麗なのは知っているんだけどさ。


 いまいち前世でそういう事がなかったからピンと来ないんだよな。

 ちょっと試してみよう。


 俺はニッコリ笑いながら、件の女性陣に手を振ってみた。

 「キャー!」


 彼女らはさっきの物静かな態度から一変、互いの手を握りながらピョンピョン飛んでいた。

 俺ってば攻撃力たけぇ。


 そこに、ポカリと頭を殴られた。

 「何バカやってんのよ!」


 リーサである。

 「ちょっと実験を。」


 「んなもんしてんじゃないわよ。ああ、なるほど、陰キャな非モテがそんななりになったから、いろいろエロエロやってみたいわけね。」


 まあ、いずれエロエロやってみたいが。

 いや、そこじゃない。


 「しかし、まあ、悪くない反応だったね。」

 「やっぱりこの子ローランドに似たのかしら。」


 「父さんもモテただろうけど、母さん一筋だったんでしょ?」

 「そういう仲になってからわね。ローランドは誰にでも優しかったから、大変だったわ。」


 「悪い虫がつかないように?」

 「そうよ、悪い虫がつかないように。」


 母さんは歩きながら呟いた。


 「そりゃ、今でもカッコいいもの、大変だったろうね。」

 「まあ、そうね。今でもコントロールは欠かせないわ。」


 怖っ!!


 そんな話をしながら、ソフィアさんが案内したのは昇降機の前だった。

 「あれ?僕らは冒険者の登録とフレイヤさんに会えるだけでいいんですけど?」


 「支部長室で、支部長と、副支部長がお待ちですので。」

 ああ、そういう事。


 母さんとギルおじさんはパーティーメンバーだったし、まあ大丈夫だろ。

 「はい、わかりました。」


 俺達はそれから素直に支部長室に向かった。

 ソフィアさんが観音開きのドアを開き、俺たちに入室を促す。


 目の前には、ダークブラウンの家具で統一された、渋めの支部長室が広がった。

 ソファーにはデカい筋肉ダルマと、派手なスーツっぽい服を着た、化粧姿の男性が座っていた。


 デカい方は、支部長のギルバートさん。

 化粧の男性がフレイヤさんだ。


 「おう、来たか。アリアンナ久しぶりだな。近くに住んでいても中々会えないものだ。」

 「そうね、あなたが避けているんじゃなくて?ギルバート。」


 「そんな意味のないことしねぇよ。なあアベル。」

 「僕は知りませんよ。」


 「おめぇは冷てえなぁ。まあ座れよ。」

 そう苦笑いしながらギルおじさんは僕らに座るの促した。


 俺と母さんはギルおじさんたちの真正面のソファーに座る。

 他のメンバーにはちゃんと椅子が用意されてあった。


 流石、ギルおじさんは優しいね。

 「さて、アベルたちの冒険者登録だな。事前にローランドから登録証をもらってある。」


 へ?もう用意して、あの茶番やったの?

 そう思い、隣に座った母さんを見上げた。


 「ま、儀式みたいなものよ。あなたたちがどこまで本気かってね。」

 はあ、冒険者として、親としてのマウントを取りたいのかな?


 「面倒な手続き踏むね。」

 俺は半ば呆れながら言った。


 「そうよ、生きるのは面倒なの。だからそれにどこまで耐えられるか。親の躾とはそういうものよ。」

 躾ねぇ。


 面白がっている間違いでしょ。


 「ほら、ソフィアが皆の冒険者であることを証明するタグを持ってきてくれてあるぞ。」

 ギルおじさんが、ソフィアさんを促し、皆にタグを配った。




 これで俺たちは正真正銘、冒険者になったのだ。


ここまで読んでいただき、有難うございます。

☆の評価ポイントとブックマークで得られる作者の栄養があります。

よろしければ、下にある☆とブックマークをポチっとしていってください。

どうかよろしくお願いします。


この作品を気に入ってくださると幸いです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ