19.アベルくんと魔素タンク。
19.アベルくんと魔素タンク。
残された二人がなんだかしんみりしている。
配偶者であり父親が、死地に向かうのだ。当たり前なのだろう。
俺はあまりピンとこないんだけどね。
おそらくローランド父さんとエドワード爺ちゃんの二人とは対話形式のコミュニケーションが取れていなくて、あまり情が沸いてないってことなんだろうな。
いや、二人が居なくなるって、寂しっちゃ寂しいのよ。
でもそこまでというかね。
言語化は難しいな。
直接肌の触れ合いが多かった、アリアンナ母さんとかマリアさんが死地に行くなんてことになったら、そりゃギャン泣きだろう。
ローランド父さんとアリアンナ母さんは、俺にとってこれくらいの差があるのさ。
さて、ご婦人方は朝食を食べに行くらしい。
そうだね、悲しい気分の時はね美味しいもので腹を満たして、ちょっとでも幸せな気分になればいい。
心が軽くなるからね。
俺の朝食もそろそろ帰ってくるだろう。
そしたらまた一眠りだな。
ほらな、噂をすればってやつだ。
かごをもってマリアさんが帰ってきた。
*****
マリアさんから授乳してもらって一眠りした俺は、起きて早々魔素の取り込みを続ける。
寝る前の魔素は、大腿部の中ほどまで溜まっていた。寝て起きた現在も変化はなしだ。
起きてからもう2時間くらい経ったかな?
今はおおよそ身体中に溜まっている。
魔素の霧散は今のところ見られないし、危険な感じもしない。
面白いもので、首から上には魔素はいかないみたい。
鎖骨の高さまでだね。
それでも魔素溜りだけから比べれば、圧倒的な総量になるだろう。
アリアンナ母さんに直接確認をとれないけど、全身に魔素をためる機能があることを知っているのは俺だけだろう。
なぜならロッティーの魔法の訓練で魔素溜りに溜まったのを確認してから、魔法の事象の昇華を教え始めたからだ。
全身魔素タンク状態を知っているなら、まずそれを教えるだろう。
彼女がそれをロッティーに教えないのは、知らないからに他ならない。
魔素溜りで魔素を詰めに詰め、魔素の出口を開けないと、俺と同じ状態にならないんだ。
しかも、魔素は圧縮できる。
まだ比べることは出来ないし、新生児の俺の魔素溜り自体が小さいので予想でしかないんだが、魔素溜りしか使っていない人から比べたら、数十倍の魔素を取り込むことが出来るだろう。
まさに魔素タンクだ。
早く他の人と検証したいけど、今は喋れないしな。
魔素の研究と魔力変換の研究で3年くらい暇をつぶさなきゃ駄目か。
ははは
参ったなぁ。
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