171.アベルくんと二次会。
171.アベルくんと二次会。
ようやく迎賓館での宴会は幕を閉じた。
ユーリとエレナは母さんが用意した高級ホテルのスイートでお泊りだそうだが、無事いろいろ迎えることが出来るのだろうか?
この国では、娼館などが公共施設になっているので、貴族の子弟は勿論、騎士団など軍関係、冒険者やブルーカラーな人々も非童貞率は高いという話だ。
エレナは知らんが、ユーリも大丈夫だろう。
存分に今までの思いの丈をベッドにぶつければいいのだ。
ニチャァ
さて、残った酒カス共はというと、一同ヴァレンタイン家の別邸へと送られた。
オスカーとオリビアは王城へ直行したがね。
子供は21時以内に寝た方が良いのよ。
成長ホルモンがどうたらこうたらだから。
でだ、我がヴァレンタイン家別邸食堂は悲惨な状況だ。
面子紹介する?
建制順の紹介がよろしいのかい?
面倒だが仕方がない。
王、王妃。家臣の家に乗り込んで飲むというファンタジーではちょっと考えられないことを平気でするこのご夫婦、少しばかり尊敬しちゃうね。
宰相夫婦。この二人は親戚なんだから、All Okなんだけどさ。完全お目付け役だよね、色んな意味で。
軍務大臣夫婦。えっと、まあ宰相御夫婦とも仲が良いっぽかったからいいんだけどさ。幼なじみ属性?知らんけど。
これだけでも城の要人なんだけども。
それらを警護する人たちも当然残っているが、そのトップ近衛騎士団長と、セイナリア騎士団長の二人はグビグビやっている。
うちの騎士団長も含めて何やら三人で飲み比べを始めたようだ。
チャールズ、辺境の沽券にかけて負けるなよ。(アルハラ)
部下の人達はもちろん警護だ。
可愛そうだから、仕事中にお酒は駄目だが、料理は交代で食べさせたけどね。
残るはわが愛すべきヴァレンタイン家の面々だ。
父さんはもうすでに出来上がっている。
でも、真の陽キャっぽさ、パリピの神髄みたいのは時折見せるけど、あまり乱れないんだよね、
母さんはそんな彼らに目配せしながら飲み食いしている。
ホストの妻としての職務を全うしているようだ。
偉い、偉い。
いきなりだけど、この国はこうだからね、お前らの主義主張なんか関係ないから。
そして、我々姉弟だ。
でも、なんだかロッティーはもう眠そう。
椅子に座ってうつらうつらと船を今にも漕ぎ出しそうだ。
俺は、すぐそばに控えていたリサを呼ぶ。
「リサ、姉さんはもう限界だ。寝室に運ぼう。」
「はい、かしこまりました。ローズと二人で運びますね。」
「うん、姉さんが寝たら、君ら二人も休みな。慣れないことで疲れたろ?」
「いえ、まだお客様もいらっしゃるので。」
リサがそう言うと、近くに居たミーが
「私たちがいるから大丈夫にゃよ。」
と、ちびっこメイドをいたわる、猫耳メイド。
ふつくしい。
「そうだ、裏で料理と飲み物貰って食べて寝なよ。お疲れさまでした。」
俺はそう言って強引にリサとローズをお疲れ様させた。
子供は21時前に寝るのがうんたらかんたらだからな。
俺はどうなのかって?
ご婦人方が寝させてくれないのよ。
その裏で高位の殿方たちは、さっきの続きのヤバい話をしていたんだが、俺は勿論蚊帳の外。
まあ、聞かない方が良いし、なんならそのご婦人方も、それに気を遣って俺を構っている感じがしてならないんだよ。
良い、全然ありだよ。
俺は生ける戦術核爆弾だからね。
余計なことを聴いて、暴走せぬのが良いのよ。
てなわけで、この世界のフライドポテトっぽい物をモシャモシャ食べながら、リオラのジュースで流し込んでいたりする。
「ねえ、アベルはオリビィをお嫁に貰うの?」
酔っぱらった王妃が絡んできた。
そう、ローテで絡んでくるのだ。
「ご婦人方でお話をしていたんじゃないんですか?」
「もうね、みんな、話の内容が分かるのよね。だから話していて楽しい人のところに来たがるのよ。」
なるほどね、広いセイナリア、その中の広い王城でも顔を突き合わすのは狭い人間関係か。
わからんでもない。
広い自社ビルの中でも、結局話をするのは部署の一部だったりするからな。
その中でも人間関係が崩れると、もうぐちゃぐちゃ。
ぼっち気質ならなおのこと。
「社交」が仕事の貴族という名のこの人たち。
本来、俺の敵なんだよね。
まさか俺がその渦中に入るとか、ちょっと考えられない。
早くヴァレンティアで爺ちゃんと木剣振りたいよ。
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