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161.アベルくんと周りの大人。


161.アベルくんと周りの大人。




 ほとほと疲れたんだが。


 ほぼ詭弁だと言われても仕方がなかった。

 向こうが感情論で来てくれてホント助かったよ。


 何故俺は海千山千の中央高級貴族のご婦人なんかにレスバ吹っ掛けてしまったのか。


 からかわれてイラっとしたから。

 それな!

 じゃねーし、疲れたし。

 

 でもまあ、今の俺にできるのは

 「生意気言ってごめんなさい。でもちょっとカチンと来ちゃったのは事実で。婆ちゃんゴメンね。ルミナ夫人も許してください。」


 「あら、謝らなくてもいいのよ、アベル君。あなたは私たちが犯してきた問題に一石を投じ、そしてその棘を抜き取ったの。キツイ言葉を投げかけられたけれど、それは私たちへの罰なのだから仕方ないわ。」

 そう言って、JCは目を細め笑った。


 「でもあれね、5歳の孫に諫められるとは思わなかったわ。」

 自嘲気味に婆ちゃんが言葉にする。


 「ほんとね。グスタフが死んだら、アベルと結婚しようかしら。」


 「あんた何言ってんの!?長命種だからってバカじゃないの!」

 婆ちゃんは周りがビックリするほどの声でルミナ夫人を罵倒した。


 「いいわよねぇ、アベル君。あなたが成人するまで私はこのままの姿だし。きっとお似合いだわ。」

 「だから、やめなさいっての!」


 生まれながらのハイソサイティーでセレブレティーな婆ちゃんでも、崩れる時は崩れるんだね。

 あ、でも母さんがはねっかえりだったというルーツだと思えば納得できるのか。

 

 「やっぱりアベルはエルフ種に好かれるのね。」

 ポツリと母さんが呟いた。


 「そうね、リラやマリア、街で会ったカレンさん?もダークエルフだと言っていたわ。」

 ロッティーもそれに参戦。


 「偶然でしょ。というか好かれてはいないしね。」

 ていうかさ、好かれても仕方ないでしょ。

 てな感じで俺がこう言うと


 「あら、周りにそんなエルフがいるってだけでも珍しいのに、みんなに好かれているの?それはとても偶然とは思えないわ。」

 などと、ルミナ夫人が意味深なことを言う。

 そういうのやめましょうよ。


 などと思ったら、後ろから殺気を感じた。

 後ろを振り向くと、グスタフ侯爵が鬼の形相て立っていたのだ。


 「アベル!俺が死んだらルミナを貰うとは何事だ!!」

 「いや、逆、逆!」

 俺は必死で抵抗する。

 そこへ


 「グスタフ!!」

 と、凛としたルミナ夫人の声が響き渡った。

 「はい。」

 デカい身体が、子犬の様に縮まるグスタフ侯爵。

 

 「こ奴め、アベルが色目使ったと勘違いしおって。話は聞こえておっただろうにな。」

 爺ちゃんが俺たちの方にやって来てぼやき始める。


 「しかしアベルや、よくもまあこの三人を言い負かしたものだ。そちらで聞いていてこっちが肝を冷やしたわい。」

 「爺ちゃん、助けてくれても良かったでしょ?」


 俺は爺ちゃんに取り敢えず文句を言う。

 でも返ってくる言葉はわかるんだけどね。


 「儂、この者たちに勝ったことが無いからな。」

 な、やっぱり。


 「まあ、ある程度距離感がない人間じゃないと、言えない言葉を僕は使いましたからね。」

 俺がこう言うと、爺ちゃんは深くうなずき


 「うむ、儂も嫁と娘、幼馴染で嫁の親友となると、なかなかな。言える言葉も多くあるが、それ以上に言えない言葉も多い。身近な人間ほど気を遣わねばならん、分かるな、アベル。」


 「はい。」

 俺はいい返事をした。


 「それを知っていて、感情だけでモノを言う者たちも居るからの。なあ、お三人や。」

 それを聞いた婆ちゃんたちは、しかめ面をする。


 ふと見ると、まだ小さくなっているデカ物がいた。

 「軍務大臣閣下、奥様は本気で私と結婚するなど言ってなどいませんし、閣下を怒ってなどいませんよ。」


 ちょっと助け舟を出したくなったのさ。

 なんだか情けないしね。


 「アベルよ、本当にそう思うか?」

 「ええ、思いますとも。さっき爺ちゃんが言ったじゃないですか。身近な者には言える言葉が多くあると。ちょっと毒があり過ぎるような気もしますが、閣下を愛してらっしゃるからの甘えだと思いますよ。」


 そんな会話をしていると、物珍しそう俺たちの席に近付いてきた者たちがいた。

 「やあ、宰相閣下と軍務大臣閣下、それと御内儀の皆様、ご機嫌麗しゅう。」





 そう言って入って来たのはたぶん騎士団の人だろう、ガタイは良いがきちっと身が締まった戦士然としたおっちゃんと近衛騎士団副団長のアレクさんだった。



ここまで読んでいただき、有難うございます。

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