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155.アベルくんと神の祝福。

155.アベルくんと神の祝福。




 俺は黙って祭壇の4人を見つめる。

 ふいに両サイドで立っていた父さんと母さんが、新郎新婦から離れ、俺たちと同じ席に座った。

 

 「お疲れさま。」

 俺はロッティー越しに小さい声で二人に声を掛ける。


 父さんと母さんは二人とも微笑んで

 「ありがとう。」

 と、言って静かに笑った。


 司祭の祝詞は続いている。

 何言っているかは此処からは聞こえないけどね。


 きっとアルケイオン様もどこからか見守ってくださっているのだろう。

 『ここにおるが?』


 おおい!

 俺の隣の空席に、3Dアルケイオン様が座っておられた。


 もう宜しいのですか?

 『司祭に神気を渡したからな。祝詞が滞りなく済めば二人は夫婦だ。』


 さようで。ありがとうございます。

 『うむ、真正面からも見てきたが、二人とも、立派なものを持ち合わせていた。』


 アルケイオン様のスケベ。

 『これは面妖な。性の営みは自然なことだぞアベルよ。』


 それは存じていますけどね。

 それにしても今日のアルケイオン様は、あけすけすぎませんか?


 『トレーサとの同衾話に当てられたのでな。少々二人に嫉妬しているのだ。』

 『嘘よ、信者の前じゃムッツリなくせに。』

 リーサがアルケイオン様に茶々を入れる。

 『なんと!トレーサ!それは当たり前であろう?己の欲を前面に出した神など、滅びしか無いぞ。』


 前世の南ヨーロッパの神様たちは、人間や色んな種とお痛して、怪物を生み出し自分たちを追い込んでしまったりしますしね。 


 『雷神たちであろう?あれは酷いな、余もあれほどエゴイストにはなれん。男も女も美しければ人の妻であろうともNTR。ちょっとそれはノーサンキュー。ほら、髪型みたいな名前の美の女神も酷いからな。あれほどの悪女は数多いる神の中でもおるまい。』


 アルケイオン様、キャラ崩壊してますよ。

 でも、あの貝殻に乗ってくる神様は確かにひどいですよね。木馬の戦争の原因作っちゃった女神様でしょ?

 人の嫁さん賞品にしちゃいけませんよ。受け取る方も馬鹿なんですが。


『『それな!』』


 そして人の嫁さん取ったって言えば。


 『アベル、それは言わない方が良いんじゃない?』

 おっ!リーサが珍しく慎重だ。


 しかしな。

 いや、せっかくの処女嫁取るのはどうかと思うな。いきなり孕ませるって。

 あ!だからそのお父さんと同じ名前の奴が裏切ったのかな?


 『頭文字がEの癖にヤから始まる神であろう?あれこそムッツリであろうよ。』

 ホント、自分発祥の宗教なくせに、三大派閥作って喧嘩させているんだから救いがない。


 

 『禁忌の木の実とかを身近に植えるしな。』

 そうそう、その実を食べさせた悪魔も自分が生み出したんでしょ?やっていることが矛盾だらけなんですよね。


 『聞いたぞ、其方の前世の国に布教に言った宣教師が音を上げた話。』

 あれは仕方ないですよ。先祖は大事って教育を坊さんたちから受けてきた人に、既に死んでいるもので主を信じていないものは皆地獄行きって言っちゃったんだもの。


 その宗教を信じちゃった連中は、先祖をないがしろにする宗教に入ったって事でしょ?

 そりゃ弾圧されますよ。


 まあ、うちの国の人を奴隷にしたとかもあったらしいですけどね。


 『そこに来ると、其方の前世の神は粗野よの。』


 粗野というか、幼い感じがしますよね。

 荒ぶる神がどうあらぶったかって、姉神の社にうんこばら撒いたくらいですもん。


 8首の蛇を倒すってカッコいい話もあるところも、荒ぶる神ってところなんでしょうね。

 でも、不良が子犬を助けた的な、情けなさも孕んでいるところが何とも。


 『姉神も子供っぽいよの。』


 そうですね。うんこばら撒かれて拗ねて洞穴に引きこもるって何?って感じですもん。

 それを引っ張り出すのにも、醜女にストリップさせて皆で大笑いってすごいですよね。


 しかもあの太陽神様、他の神が平定した土地を横取りしたんですから、まあ質が悪いっちゃ質が悪い。


 『あら、あの禍津日神は遠くで見て分にはワイルドでカッコ良かったわよ。』

 へー、リーサ見たことあんの。


 『太陽の神と喧嘩していたけどね。』 

 あ、やっぱり、仲悪いんだね。

 『月の神が半目で笑っていたのが印象的ね。』


 『半目といえば、人間から神格化したアイツであろう。』

 あー、額にデカい黒子のあるお方ですね。


 『あいつは悪い奴じゃないが、あいつを取り巻く神々が邪悪で良くないわの。』

 でも、基本その神様は、黒子の人より前の神様たちなんでしょ。


 『まあ、そうなんだが、蛇で山をこねくり回したり、自分の息子の首を象に挿げ替えたり、ろくなもんじゃないぞ。』

 『なんだか興が乗ってきたわね。』

 

 まだ話をするんですか?祝詞終わりません?

 『おっ、そうだな。アベルや、其方は既に神気は見えるのであろう?』


 はい。なんかあるんですか?

 『そのまま我が子を見ておけ。』


 そのまま祭壇の司祭と新郎新婦を見る。


 司祭が錫杖を振り上げ

 「この二人に、アルケイオン様の祝福あれ!!」

 と、大きい声で言ったその時、錫杖から噴水のように神気があふれ、ユーリとエレナに降り注いだ。


 おお、凄いですね。これがアルケイオン様の祝福ですか?

 

 『そうじゃ。どれ、サービスするかの。』

 アルケイオン様は、自分の手のひらを口元に持って行くと

 『フー。』

 っと、神気の息を吹きかけた。

 




 そうすると、司祭の錫杖から会場の皆に視覚化された神気がパーティクルエフェクトよろしく吹き上がり、礼拝堂中を雪のように包んだ。




ここまで読んでいただき、有難うございます。

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