154.アベルくんと結婚式本番!?
154.アベルくんと結婚式本番!?
前世の結婚式なら、子供が花嫁のドレスの裾を持って歩いたりするけどさ、こっちじゃやらないんだ。
だから俺らはさっさと礼拝堂に入って司祭に挨拶して座っちゃうわけ。
するとどうでしょう。
『久しいな、アベルよ。』
そう言って3Dホログラムよろしく顕現してくるアルケイオン様。
ここからは、アベルの脳内からお送りします。
御無沙汰しております、アルケイオン様。
3D氏神様がいらっしゃるわけ。
『トレーサは、今日は華やかだな。』
『でっしょう。結婚式は華やかにするんだって。』
『それならば、余も受肉してアベルの傍に居るのだったな。』
いやいや、そりゃ不味いですって。
『して、今回の新郎新婦はどのような者だ?アベルと近しいな仲なのか?』
そうですね。うちの騎士団の副官とメイドですが、騎士爵持ちと、寄り子の男爵の令嬢なんで、完全に身内と思っていただいて構わないかと。
『そうか。ならばうんと祝福してあげねばな。』
ありがとうございます。本人たちも喜ぶことでしょう。もちろん主の親族として、俺も嬉しいですけどね。
『エレナはアベルのお気に入りだったのよね。』
リーサが余計なことを言い出す。
まあね、大きいし。
『ん?何がだ?』
『アルケイオン、胸よ。アベルはの中身は40近間のスケベ親父なのよ、分かってあげなさい。』
また余計なことを。
『アベルよ、大きいのが好きなのか?』
好きっていうか、憧れはありますよね。こう、抱かれたいというか。
『なるほど、幼児退行か。』
いや、そういうものでもないんですけどね。
『そうであろうな。既に幼児化しておるし。ならばどうだ?余もなかなかなものであるぞ。』
半透明の3Dホログラム斯くや、という姿で顕現なさっておられるアルケイオン様が、胸を突き出し俺に迫る。
『アルケイオン!』
リーサがキレた。
『トレーサ、其方も迫ればよかろう。しかし其方も難儀よのう。人間に受肉すればいいのに、フェアリーに受肉したばかりにアベルとも添え遂げられぬとは。』
『いいのよ、毎晩同衾してるもの。』
リーサさん、あなた俺の布団にもぐりこんでいるだけですよね?
『そうよ、それでも同衾は同衾でしょ?それにあんた気付いていないようだけど、時々私のことを触っているわよ。』
ちょ、やめて、そういう事こんなとこで言うの。
・・・。
マジ?
『ホントよ。幼児として、胸をまさぐるのは分かるけど、下まで手が伸びてくるとは思わなかったわ。』
マジ、やめて。
ギブ!ギブだから!
『ふむ、5歳の器でも魂が中年ならば成熟した性欲が無意識化で漏れ出るのかも知れぬな。』
アルケイオン様、お願いだから冷静に分析しないで!
『まあ、私はいつでもいいんだけどね。ポッ。』
ポじゃねぇ!
もう俺の部屋禁止!
『嫌だぁ、なんでぇ!?』
なんでぇ!?じゃねぇ!
「アベルどうしたの?顔が真っ赤よ。」
隣の席に着いていたロッティーが俺の顔を覗き込む。
クソッ!とんだ羞恥プレイじゃないか!
「大丈夫だよ、姉さん。何でもない。」
「そう?おしっこ?」
だからさ、下の方から意識を遠のけようとしてんのに、なぜ強引に引っ張ってくるかなぁ。
「ん、大丈夫。」
と、俺が返事をしたら
「ガゴォン!」
礼拝堂の観音扉が厳かに開いた。
逆光を背に、4人の人影が礼拝堂へ入ってくる。
『ほう、なかなかの美男美女ではないか。』
アルケイオン様が新郎新婦の品定めだ。
『アルケイオン、外側の二人を見ているわけじゃないわよね。』
『わかるわ!戯け!ローランドとアリアンナは付き合い長いからな。話したことはありはせぬが。』
『そうか、なるほど大きな。』
くっ!まだ引っ張るのか。
でも、あの潤沢なレースの新婦用ドレスで、よく大きさが分かりますね。
『ふむ、生体だけを認識させておる。』
何やってんの!この神様!!
『いや!まて!!』
どうなされたのです?アルケイオン様。
『新郎の方もなかなか大きい。』
もう、アホかと!馬鹿かと!
アルケイオン様って結構世俗的というか、俗物的ですよね。
『何を言う、アベル!余ほど数多の神々の中で神気に溢れた者はないのだぞ?』
『もう、何言っても駄目よ、アルケイオン。バレバレ。』
茨の冠は威厳と尊厳に満ち、痛そうなのに、ね!
『ねー!』
『ねーとか、痛そうではないわ!』
俺たちがバカ話をしている最中も新郎新婦の歩みは進み、祭壇の前まで到達した。
そこで、司祭の祝詞が始まる。
『我が子が呼んでおるでな、行ってくる。』
そう言って、3Dホログラム的神様は姿を消した。
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