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152.アベルくんと結婚式。

152.アベルくんと結婚式。




 へ?

 今日、結婚式すんの?

 全然聞いていませんけど?


 「アベル、服はローズがもう準備しているから、ご飯を食べたらすぐ支度しなさい。」


 朝、別邸の食堂。

 皆で集まり食事をしていたら、いきなり母さんがそんな話をしてきた。


 「ローランドとアベルが最初にセッティングしたイベントでしょ。しっかりしなさいよ。」

 そう言う母さんはちょっと怒っているっぽい。


 誰の結婚式かって?

 ユーリとエレナだよ。


 この前の会議行きの馬車の中で、ユーリを突いてやっとプロポーズさせ二人は結婚することになった。

 そこまでの段取りは、俺と父さんの段取りだったんだけど、会場とかは母さんと婆ちゃんに丸投げになっていた。

 

 このタイプのイベント会場探しなんて、地元民がやった方が良いだろうしね。

 それに、こういったイベントは、女性陣に任せた方がいろんな意味で間違いないのかなって思ったんだよ。


 うるせぇな!この似非フェ…、いや、何でもないです。


 さて、食事も終わり、自分の部屋に戻るとローズが俺の礼服をベッドに広げて待機していた。


 「あ、ローズありがとう。自分で着るからもういいよ。ローズもおめかししておいで。」

 そう言ってローズを部屋から出そうとしたが

 

 「駄目です。ちゃんと着替えさせるように奥様から言われていますから。」


 何たる信用の無さだ。


「だから今着ている服を全部脱いでください。アベル様が手早くしてくれないと、ミー姉ちゃんがメイクしてくれる時間が少なくなるので。」


なるほど、その手間も必要か。

いつの間にか、ローズも大きくなったものだ。


 「どうしたんです?ジロジロ私を見て。」

 狼獣人少女が訝し気に俺をけん制する。


 「いや、ローズも随分お姉さんになったんだなって思ってさ。重ねたオムツをもってヨタヨタ歩いていたのになってね。」


 「その頃のアベル様は、ベビーベッドで寝ておられたのではありませんか?私だけじゃないんですよ、大きくなったのは。」

 

 「はい、はい、そうだね。」

 「はいは一回!ってまた奥様に怒られますよ。」


 「お前もよく見てんね。」


 俺はそう言ってから、着ている服を脱いでベッドに置こうとすると、ローズが手を差し出すのでそちらのの方に差し出した。

 ローズが服を受け取ったのを確認、すぐさまベッドに広げてある服を確認だ。

 

 シャツ、スラックス、ジャケット。

 この世界のファッションは、前世と似ている。

 ネクタイは普通しないんだ。

 でもフォーマルな場だと、蝶ネクタイっぽいのや、紐タイ的なものを男性は着用する。

 

 また、これも英雄王様が異世界からもたらした文化なのかもね。

 

 今回の俺の服も前世のモーニングに似た服装だ。


 俺はシャツから袖をとおす。

 シャツを着たらスラックスを履き、サスペンダーの調整だ。

 それをやっている間に、ローズは俺の背中にシャツをグイグイ押し込める。


 もう、ちゃんと入っているだろう?

 まったっく。


 そうしたら子供用の紐タイ着用、それが終わるとベッドに座って靴下を履く。

 その間に、ローズがピカピカの革靴を持ってきた。

 

 しかし、いつの間に拵えたんだ?

 サイズも図っていないんだが。


 靴を履くとローズが紐を縛ろうする。

 「ローズ良いよ、こっちからこう結ぶと強く結べてほどけないんだ。」

そう言って、俺はイアンノットで紐を結んだ。


 「アベル様は、本当にいろんなことをご存じですね。」

 ローズは呆れたように言い、俺は口元に愛想笑いを作った。


 まあ、前世の記憶だけどな。


 これであとはジャケットを着るだけ。

 な、ローズはシャツを背中に押し込んだだけだ。


 「ほら、終わったよ。ローズも行っておいで。」

 俺がそうローズに出ていくよう急かすと


 「まだです、御髪を治さないと。」

 整髪までやるつもりかよ。


 そう言うと、背中を押されてドレッサー前だ。

 仕方がない、やられるままに自分を鏡で見る。


 俺はこちらに転生してから滅多に鏡を見ない。

 正直、実感がわかないんだ。


 アベルは、母さんの栗毛、同じく優しい目元に、父さんと爺ちゃんに似た鼻梁と薄い唇。

 マジ、ヴァレンタイン家のマスターピース。

 スゲー可愛いんだよ、そりゃモテるはずだ。


 「はい、終わりました。」

 ローズの声に、目の前の鏡をまた覗く。


 栗毛を七三にピッチリ分けた、貴族の可愛いお坊っちゃまがそこに居た。


 「うん、いいね。ローズ、ありがとう。早く行っておいで。ミーに綺麗にしてもらうんだよ。」


 


 ローズは俺の声を聞くと、恥ずかしそうに微笑み、両手に俺の脱いだ服を持って、ぺこりとお辞儀をして俺の部屋から出て行った。


ここまで読んでいただき、有難うございます。

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