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131.アベルくんとエミという名のメイド。

131.アベルくんとエミという名のメイド。




 俺は続きを聞くことにした。

 「エミ、もうちょっと突っ込んだことを聴いていいかな?」

 「はい、どうぞ。」

 この状態でもエミは微笑みをたたえている。

 余裕あんだね。


 「ご姉弟はいるのか、いたとして何番目なのか。」

 「兄弟は5人です。私は末娘になります。」


 「あ、断っておくね。令嬢とは扱わないからそのつもりで。あくまでヴァレンタイン家の使用人として扱うので。よろしい?」

 「もちろんです。私はオルディス家から捨てられたのも同然でしたから。」


 「では、オルディス子爵はパーシー公爵の寄り子?」

 「はい、そのとおりです。」


 「はい、君はパーシー公爵とコンタクト取ったことがある?もしくはその使用人たちとの接触は?」

 「そのようなことは滅相も無い事です。子爵家の冷や飯食いが大公様と接触なんてありえません。」


 「冷や飯食い?そうかな?そんな娘を魔法大学校へ入学させるとも思えないけど。」

 「私が無理を言ったんです。これ以上何もわがままも無茶も言わないから、魔法大学校に行かせてくれました。」

 「なるほどね。では、君に婚約者は居る?もしくは居た?」


 「その質問にどのような意図があるのでしょうか?」

 エミの顔から微笑みが消えた。

 「ごめん、これは僕の興味の話。エミの様な清楚なご令嬢に婚約者がいないはずはないよなぁって思ってさ。」


 「アベル様はお戯れが過ぎます。私が清楚だなんて。」

 彼女に笑みが戻る。

 「で、どうなの?」

 「前はいました。でも、出奔という形で私がオルディス家を出ましたから、婚約は破棄になりました。」

 「それはどこの誰だろう?」

 「ルシアン・サザレーヌ男爵です。南部地方の南ドワーフとの交易で財を成している領です。」


 「南部山岳地帯にヴァルシオンがあるもんね。あそこのドワーフと仲がいいわけか。稼げそうだね。」

 「ええ、父もそれを期待していたようでした。私のことは今でも恨んでいるのでしょうね。」

 「ごめんね、悪いことを聴いたみたいだ。僕が聞きたいのは以上だよ。ありがとう。」


 「では、控室に行ってリサを呼んできて。その後は休んでも外出しても良いわ。」

 「はい、かしこまりました、奥様。では、失礼いたします。」


 そう言うと、エミは静々と出て行った。


 「アベル、さっきの話必要な情報だったの?」

 「また、母さんだってわかったでしょ。」


 「婚約者もパーシー公爵とつながっているわよね。思い切り金づるだもの。」

 「南部のパーシー公爵のつながりは、全部敵だと思った方が良いのかもね。」


 「ことはそんな単純じゃないわよ。陛下の伯父様なのだし。」

 「そこは見込んでいるけどさ。」


 「あべるぅ。」

 母さんが変に語尾を伸ばして俺を呼ぶ。

 「何?気持ち悪い。」

 つい俺は思ったことが口に出た。


 「あんたホント5歳?」

 はぁ?わからんでもないが今更?


 「あなたが生んだんでしょ!?」

 「そうなんだけどさ、時々信じられなくなるのよね。」

 そりゃこんな思考の5歳はいなかろう。


 「母さん、気づいてる?」

 「何よ?」


 「言葉遣いが冒険者のそれになっているよ。」

 「あらやだ、おほほほほ。」


 「まったく、それでも宰相閣下のご令嬢ですか。」


 「ほら、母様とアベルはいつも面白おかしく話をするんだから。私はいつも置いてけぼりよ。」

 姉さんが俺と母さんの絡みを見てぼやくんだが、入らなくてもいいよ。


 「ロッティーは真面目で良い娘だからね。」

 「姉さんにはいつまでもそうあってほしいなぁ。」

 「私はそれじゃ嫌なの!」

 そう言ってロッティーはプイッ!と横を向く。

 ロッティーは最近こればかりだな。


 バカな話を家族でじゃれあっていたらリサが入ってきた。

 「失礼します。」

 流石のリサも緊張した面持ちだ。

 

 「リサ、そんな緊張しなくてもいいのよ。」

 母さんがそんなリサに声を掛けた。

 「私もいるもの。」

 姉さんも声をかける。

 俺はただ微笑んでいるだけだ。


 「ではいいかしら?」

 母さんがリサに聞く。

 「はい。」

 

 「では始めるわね。リサの出身はどこかしら。」

 「南部山岳地帯のヴァルシオンです。」

 



 ええ~、マジかよ…


 



ここまで読んでいただき、有難うございます。

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