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107.アベルくんと剣の練習。

107.アベルくんと剣の練習。




 朝起きると、また隣でリーサがおっぴろげているわけだが。

 この神様に、学習という文字はないらしい。


 そしてノックの音と共に、ローズが入ってくる。

 それから、いつもの騒動が起こるわけだが、これは最近のルーティンだ。


 ローズから着替えをもらい、自分で着替える。

 僕5歳だからこれくらいできるもん。


 中身39歳が出来なかったら恥ずかしいわけだが。


 着替えて顔を洗い、食堂に行く。


 そこのは家族がそろっていた。

 今日は時間的には遅れていないから、母さんの小言もない。


 「じゃあ、たべようか。」

 いつものように、父さんの暢気な号令の下、みんなでの食事が始まる。


 「父さん、今日何か用事がある?」

 俺は父さんに聞いてみた。


 父さんは、パンを口に運ぼうとしていた手が止まる。

 「なんだい?何か用事かい?」

 父さんはちょっと警戒しているようだ。


 「こっちに来てから自分で剣の練習をしてきたんだけど、やっぱり誰かに見てもらってった方が型の練習は良いのかなって持ったんだ。父さんに見てもらいたいんだよ。」


 爺ちゃんが居ないからね。

 父さんも超一流だし。


 「そうか!剣の練習か。いいね、見てあげるよ。型の練習だけかい?打ち込みもやった方がいいんじゃないかな?」

 父さんはのってきた。

 

 「打ち込みはちょっと。型の正確性やブレの有無の確認をしてもらいたいんだ。」

 

 まだ前世での虐待で負ったトラウマが払拭されたわけじゃないからね。

 王子に対応出来たのは、ロッティーの怪我でキレただけだし。

 

 後、頭の中に魔素が流れ込んだことも起因してんのかな?

 この魔素の現象、確認したいんだけど、どういうふうに確認すればいいかよく分かんないんだよ。

 魔素タンクが身体だけではなく、頭にまで回ったのは確かななんだ。

 王子の動作がスローに見えたのも、ガストーチ魔法が、炎の事象と酸素の生成を同時に行い、ほぼ最高温度を出力できたのも、今の状態の所為だと思われる。

 

 「よし、アベル、食べたら修練できる服に着替えて裏庭に来なさい。」

 「はい、父さん。ありがとう。」


 「僕もアベルの剣を見るのが初めてだから、楽しみだよ。アリアンナに見るのも止められていたからね。」

 あーあ、父さん余計な事言っちゃって。


 「じゃないとあなたは仕事そっちのけで、アベルの方へ行っちゃうでしょ。

 ほら、母さんに睨まれた。


 「あまり期待しすぎないでよ、父さん。」


 そんな他愛もない会話をしながら、和気あいあいと家族一緒に朝食を済ませた。


 俺はさっそく、修練着に着替えて裏庭に木剣を持って向かった。

 なぜが右肩にはリーサが乗っているのだが。


 「暇なのよね。」

 などとリーサが言った。


 「他の神様の神殿巡りしなくていいの?」

 俺がそう聞くと

 

 「いいのよ、神気も足りているしね。それよりあんたの頭に溜まった魔素の働きにも興味があるし。」


 ん?

 「お前、これの働きは知ってないの?」

 

 「2000年前の技術だからねぇ。優秀なリーサちゃんでも戦争ばかりして気が立っていた古代のヒューマンまで気が回らないわよ。」


 「そうか、その頃はまだ高次元のYouちゃんに叱られながら、魂運搬係だったんだな。」


 「違うわよ!高位精霊って言いなさいよ。」


 「高位精霊から、神様にクラスチェンジか。カッコいいよな。」


 「そうでしょう?にひひ。」


 「でも今はその神様業を放棄してリーサちゃんなんだろう?」


 「そうね、なってみると煩わしい事ばかりだからね、神様って。」

  

 「どう煩わしいんだ?」


 「みんな幸せを願うのよね。でも平等じゃないのよ。わかるでしょ?自分の幸せを祈るあんたを幸せにすると、人より努力しているあの娘が不幸になるのよ。なあんて事例が出てくんのよ。バランス取るって大変でしょ。?」


 うわぁ、こいつにそんな仕事させてたの?


 「なによ!ちゃんとやってたわよ。でも500年前のあれがあってから面倒くさくなっちゃったのよね。」


 「だから人の頭を読むなと何度も。でも今回の会話で一つ分かったよ。」


 「なによ?」


 「Youちゃんもアルケイオン様もお前のことを怒ったり、煩わしく思ったりしながらも、結局面倒見ているのは、お前が一番新しく神格を持った末っ子だからなんだろうな。可愛いんだ。」

 「か、可愛い…?やっぱり?」

 

 「お前に神罰が当たるべきだよ。」


 「なによ!」


 リーサは拳を振り上げ、俺のほっぺをポコポコと叩いた。


 そうこうリーサと話している間に裏庭に着いた。


 中庭ではすでに軽く体をほぐしている父さんがいた。


 「やあ!来たね。」

 相変わらずの爽やかな笑顔で俺を手招きする父さん。


 「遅くなった?」

 俺はそれなら悪いことしたなと思って聞いてみた。


 「いや、僕の方が楽しみでね。ちょっと張り切っちゃったのさ。」

 



 ハハッと笑ってみせる父さんは、冒険譚の主人公にピッタリなのだよなぁと思ったり。







ここまで読んでいただき、有難うございます。

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