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第六章(10) 彼女の隣りにいる資格 By ハロルド・レイルズ

「ショックだった?」

俺の部屋で長い沈黙を破ったのは、 スタンのその一言だった。

「・・・・うん」

正直、ショックなんて優しいものじゃなかった。

妻は結婚式の日に死ぬ日が決まっていた、なんて聞いたら、ショックどころでは無いだろう。

「今聞くと、変に納得するから嫌なんだよね〜」

スタンの言う通りだった。

彼女の妹の年齢は、貴族令嬢が嫁ぐとされている年齢を超えていた。あの容姿だ。縁談が全くなかったとは考えにくい。

きっと、妻の責任を取ると言って、俺のもとに嫁ぐことが決まっていたんだろう。

「なんで、言ってくれなかったんだろう・・・・」

話を聞けば聞くほど、俺の中にはその疑問ばかり浮かんだ。言ってくれたら、もっと早く義母を殺したのに、と。

「ハル、それさ、自分のせいでしょ?」

・・・・そうだよ。

「僕はハルが奥さんを愛してるの、やっと最近知った。それはきっと、奥さんもそうだよ。知ったのは、最近なんだよ」

・・・・妻は、知って、くれているだろうか。

「結婚式で会っただけの男に、自分が死ぬかもしれないこととか、死なないための条件とか、話せるわけ無いだろ!」

スタンの言うことは正しい。正しすぎるくらいに。

俺が、妻に嫌われることを怖がっていないで、普通に、自分の思うように、彼女を愛していれば、こうはならなかったのかもしれない。

「やっぱり、俺に、彼女の隣にいる資格なんてないよな」

アリーナを、大切な人を守ることが出来なかったのだから。

「そうかもね 」

人に、スタンに言われると、自分では本当にそう思っていても、傷ついた。

「けど、ハルが奥さんの隣にいる資格があるかどうかは奥さんと話し合って確かめるべきなんじゃない?」

話し合う、か。話し合う権利すら、俺は・・・・

「自分の居場所じゃないとか言い訳をしたかった結果、後悔したハルなら、話し合うことの大切さが分かるだろ?」

そう、だ。

俺、また勝手に彼女から離れるという決断はしそうになってた。

スタンは、本当によく俺のことを分かっている。

「そうだな」

俺はもう間違えたくない。

大切な人を、今度こそ守りたい、大切にしたい。

その為に、俺は妻に声をかけることにした。

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