第六章(7) 犯人の謎への考察と妻の声 By ハロルド・レイルズ
「一旦この話は終わろう」
俺の沈んだ空気を読んだのだろう、スタンがそう言った。
「けど・・・・」
「奥さんに会う前に、犯人のことについても話しておくべきだと思うんだ」
「・・・・そうだな」
妻を苦しめていた存在、継母。
あれは何を妻にしていたのだろう?
妻はあれに何をされていたのだろう?
いつから?結婚してからも続いていたのか?
聞きたいことが沢山ある。
そして、何よりも・・・・
「『蘇った奴隷』については考察しておいたほうが良いんじゃない?」
『蘇った奴隷』
この言葉にどんな意味があるんだ?
「この『蘇った奴隷』、使用人の姉なんだとしたら?」
「は?」
「だって、犯人からすると、自分の手で殺したはずの人間がお店で働いてるなんて聞いたら、その名の通り『蘇った奴隷』になるでしょ?」
「確かにな・・・・」
ただ、今回は明らかに妻を狙っている。
「犯人は『蘇った奴隷』が本物なのか確認しにお店に来たことがあるのかも」
「確認、だと?確認したとして、妻だと分かったなら殺さなくていいだろ?」
「奥さんだったから尚の事殺したかったのかもよ。聞いてみないとわからないけどね」
・・・・そうかもしれない。さっきのあいつらの言い方だと、妻の事を心の底から嫌っているように聞こえたから。
「・・・・俺がもっと彼女のことを知ろうとしていたらこうはならなかったかな」
「 可能性は減ったかもね」
『母親を亡くして悲しむ初恋の人』これ以上、知ろうとしなかった僕は、今まで何をしてきたんだろう?一年間も、時間はあったはずなのに。
「とりあえず、奥様の部屋に行って話を聞かないと始まらないよ?聞きに行こう!」
スタンの言葉通り、女中と妻に話を聞かなければ、何もわからない。俺の反省会は、全てが終わった後からでもいい。
「そんなの嫌です!私も死にます!」
そう思って彼女の部屋に着いた時、 聞こえた会話は僕らを急いで扉を開けさせた。




