第六章(5) スタンの真剣な話 By ハロルド・レイルズ
酔いそうになりながら屋敷に到着し、妻の寝室に向かった俺だが、その中に入ることは出来なかった。
寝室では、妻の女中が自分の過去の話をしていたからだった。
その話はとても悲しいものだった。
・・・・つまり、妻は女中の姉の身分証で働きに出ていたわけか。
話が途切れたので、部屋の中に入ろうとドアノブに手を伸ばしたが、その手はスタンに止められた。
「僕も、ハルに話がある」
・・・・これ、本気の声だ。
スタンの言葉の低さから、本気度を察知した俺はスタンを連れて自分の部屋に入った。
「で、話ってなんだ?」
「僕、この数ヶ月、ハルの奥さんについて調べてた」
「はぁ?」
なんでだ?
俺に知らせずに妻を調べる理由なんて・・・・。
「それだよ、ハル」
「はぁ?それって何だよ」
「今、ハル、僕を警戒したよね?」
「・・・・だから?」
「変なんだよ、奥さんもハルも」
俺が変わってるのは認める。妻、アリーナも変なのか?
「急に結婚するとか言うから何か理由があると思ってたけど、それだけ急に結婚したわりには、ハルは全く家に帰らなかった」
確かに、俺の結婚は急だった。
俺が急に結婚を申し込んで、相手の家には『彼女がいい』とだけ言って、結婚した。
けど、急だったからこそ、自分で彼女を妻にしたはずなのに近づけなかった。
「どうせハルのことだから、他に取られる前に、とか思って焦ったんでしょ?」
図星だった。




